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物議を醸した問題作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のクレージーな内幕を暴く!

物議を醸した問題作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のクレージーな内幕を暴く!


そして鬼才はクレージーと化した



 先に述べたように、ストーンはどんな映画でもフルスイングする監督だ。狂った映画なら自分も狂って撮る。当時の彼のトレードマークであった社会派の側面は脚本に盛り込んだ。あとは主人公の殺人カップル、ミッキー&マロリーと同様に荒れ狂うだけだ。ゴダールのようなモノクロ映像から、ホームドラマのパロディ、TV版アニメの「イーオン・フラックス」のようなバイオレンスまで、何でもぶちこんでやれ。NYパンクのクイーン、パティ・スミスのナンバー「ロックンロール・ニガー」をガンガン鳴らせ。ガール・バンクス、L7のナンバーは刑務所暴動のシーンにピッタリじゃないか!




 その刑務所暴動のシーンは、イリノイ州に実在する刑務所内で行なわれた。その刑務所は実際に機能しており、囚人の8割は凶悪犯というゾっとするような環境。囚人は黒人ばかりで看守は白人のみという人種差別構造も、スタッフ&キャストの居心地を悪くさせる。あるとき、スタッフが「あの場所にライトを設置したい」と刑務所の看守に申し出たとき、看守は「ちょっと待ってくれ」と答え、数分後「許可が出た。あそこに足を踏み入れた者は射殺してよいと言われてるからな」という返答が返ってきたという。とにかく、その現場は殺伐としていた。


 ミッキー役のハレルソンは、ある意味、適役だった。彼の父親は殺人犯として投獄されており、面会で刑務所の雰囲気に慣れていたのだ。ストーンがハレルソンに白羽の矢を立てたのは、そこに面白さを感じたという点もあったという。逆にマロリー役のジュリエット・ルイスには心と体の準備が必要だった。ストーンが彼女に望んだのは『ターミネーター2』のサラ・コナーのような激情的な女戦士像。しかし、ルイスはその準備ができていなかった。肉体的にも精神的にキツい撮影に慣れていなかったのだ。ハリウッドでのキャリアの浅い彼女には無理もないことだった。売れっ子女優の階段を駆け上がり、鼻っ柱が強くなっていたルイスは、狂ったストーンとしばしやり合うことになる。




 実はこの時期、ストーンは私生活でも問題を抱えていた。妻エリザベスとの結婚生活が暗礁に乗り上げていたのだ。離婚調停が難航し、イライラがつのっていたストーンは、『NBK』の撮影現場で狂って発散するしかなかった。前作『天と地』(93)までは”Naijo No Ko(内助の功)”としてストーン作品のエンドクレジットに存在していたエリザベスの名は、『NBK』のエンドクレジットのどこにも見当たらなかった。



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