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『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』日本公開記念!ウィル・ベチャー監督×八代健志監督特別対談【Director’s Interview Vol.46】

『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』日本公開記念!ウィル・ベチャー監督×八代健志監督特別対談【Director’s Interview Vol.46】

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頭がUFO?ルーラの誕生裏話



Q:ルーラの奔放なキャラクターが可愛らしかったです。彼女はどのようにして作られたのですか?


ウィル:ショーンの世界の中に新キャラとして宇宙人を登場させたいと、企画当初から思っていました。予測できない、でもすごく楽しいことが大好きなキャラクターにしたいと。

 



デザインを決める時には、色んなフォルムを試しました。最終的には、絵コンテを描くアーティストの一人が、昔ながらのUFOの形をドローイングしてくれて、それがそのまま顔の形になりました。そしてルーラの体の部分は、ロケットのジェットストリームみたいな形にしたんです。


八代:(ルーラの人形を見て)あーー!なるほど!こう、UFOの下からロケット噴射されてるような感じですね。


ウィル:そうです。それが強いインパクトのあるシルエットだったので、「あ、これだ!」と思いました。それから、頭のプロポーションは特に大事なので、以前ニック・パークと仕事をしていた、昔ながらの彫刻のスタイルを持っている方に最終的にお願いしました。彼女がドローイングを立体に起こして、このプロポーションを見つけてくれました。



 

ショーンがルーラに出会った時に「僕と同じように楽しいことが大好きで、この子なら友達になれる、むしろ昔から友達だったんじゃないか」と思える感じを抱かせることが大事でした。


八代:ルーラは声も可愛かったですね。


ウィル:嬉しいです。素晴らしい女優さんーーアマリア・ヴィターレさんが当ててくれました。映画の冒頭のまだルーラの正体がわからない時に、もしかしたら怖い存在なんじゃないかと思わせる、プレデターのような「ガルルル」っという声も彼女がやってくれました。同時に、クレイジーな笑い声もできます。本当に幅広く色んなことができる方です。



ルーラは、ショーンの願いを叶えた存在



Q:ルーラがクレイジーになる、スーパーマーケットのシーンは楽しかったです。小さな子ども達がやりたいことが詰まっていると思いました。映画の中で、子ども達の願望を叶えることは意識されていましたか?


ウィル:願望成就という意味では、観ている子ども達に向けてというより、〝ショーンの願望を叶えている〟というところがあります。彼の普段の行動を超えていくのがルーラなので。ルーラは自分のやりたいことをやりたい時にやる。それを象徴しているキャラクターなんです。今回はいたずら好きのショーンが、人生で初めて逆の立場になって、責任感を持つようになるんです。


八代:そういうショーンの姿が見られたのは新鮮でしたね。




ウィル:気づいてくれて嬉しいです。映画を観た子ども達の多くは、スーパーマーケットのシーンをすごく気に入ってくれました。僕には2人の娘がいるのですが、実は彼女たちも映画に参加していたんです。さっき、演技の参考に実写映像を撮ってアニメーターに渡すと言いましたが、ルーラのダンスは彼女達に踊ってもらいました。


あとはインスピレーションで『ルーニー・テューンズ』とか『ロジャー・ラビット』とか、昔のアメリカのアニメーションを、動きのペースを変化させるための参考にしています。


八代:あの、ルーラがすごいスピードでワチャワチャッとなるところですね。あそこはすごく面白かった。最高です!


最後にスプリンクラーの水が降ってきますよね。あれは本物の水なんですか?


ウィル:スプリンクラーから出てくる水はCGです。でも、アニメーターが「濡れているように見せるためにはスプレーで水をかけたほうがいいよ」と言ったので、服や地面が濡れる瞬間は全部アニメートで表現してくれました。水滴はアセトンとノリで作っています。


僕たちも時々、黒い布の前で水を撮影して、それを編集で足したりすることはしています。過去には、プラスチック製の水滴を使ったりもしました。『ごん』でもすごく美しい水の表現がありますよね。


八代:ありがとうございます。水滴の表現には僕らもよくプラスチックを使います。雨が降っているシーンで、地面に跳ね返る水滴とかですね。あと『ごん』では、兵十が入っている川は本物の水を使ったんです。ちょっとリスキーでしたけど人形を水に沈めました。



『ごん GON,THE LITTLE FOX』より


ウィル:本当ですか!?どのくらいの期間ですか?


八代:撮り終わるまでの数週間か、1ヶ月くらいは人形が水に浸かっていました。


ウィル:ワォ(驚き)水が蒸発して水面が低くなったりはしないのですか?


八代:水量はちゃんと一定になるように流していました。川の中にも、小さなモーターで波打ちを作って。


ウィル:素晴らしいです!すごいですね。川に本物の水を・・・ストップモーションでそれは、普通はスタジオが許してくれないです(笑)


八代:そうですね(笑)


ウィル:以前の作品で髭剃りのシーンを撮る時に、シェービングフォームに一番近いものはないか?って一生懸命探したら、本物のシェービングフォームが一番よかった、っていうことがありました。ただ、時間が経つとどんどんしぼんで行くので、ものすごいスピードでアニメートしなくちゃいけなかった(笑)


八代:大変ですね。でも、撮影は早く進んでいいですね!(笑)



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