郷に入れば郷に従え
Q:ともすればシビアでハードな作風になりそうな物語を、全体に軽やかな仕上がりにしたのは意図的ですか?
HIKARI:たしかに最初はもっとドラマチックな作品になりそうでした。ひとりの女性が下半身不随で、男性との経験もない。子供が産めるのかどうかもわからない。社会的に自立する位置を模索しているわけですから。でも脚本の変化とキャストによって、撮り方も明るくなっていったんです。
Q:東京でのロケで何か苦労はありましたか?
HIKARI:私自身、大阪とアメリカでの生活が長く、じつは東京を詳しく知らなかったので、ロケーション選びを任せた結果、問題なく進みました。繁華街で「夜10時まで」という規制があったくらいでしょうか。もし撮影がダメだと言われたら、それが運命と割り切る性格なんですよ(笑)。周辺を調べて、臨機応変で場所を探す対応力も監督としてしなければいけ無い事だと思っています。「郷に入れば郷に従え」です。
Q:東京国際映画祭をはじめ、日本での反応もいい感じですね。
HIKARI:どこへ行っても上映後に涙ながらに話しかけてもらいましたが、日本の観客って「そこ、観てくれたの!」と、細かいところを拾ってくれるのがうれしいですね。私の作品は観客の想像に任せる部分も多いので。印象的だったのが台湾で、観客に漫画ファンがいっぱいいて驚きました。障害者のテーマが前面に出てくる作品ですけど、漫画の要素も大きくて楽しいことを、日本ではアピールしたいですね。