映画は、どうやって「作られる」のだろうか?
我々は普段、当たり前のように「映画」を目にしているが、完成までのプロセスを知る機会は非常に限られている。関係者のインタビューやパンフレットに収録されるプロダクションノート、メイキング映像などから製作の一端を垣間見るくらいだろう。
映画の成り立ちを知れば、作品鑑賞はもっと面白くなる――。そこでCINEMOREでは、「CINEMORE ACADEMY」と題し、映画の作り方をクリエイターに学ぶプロジェクトを“開講”、映画製作の“リアル”をお届けする。
今回、講師に迎えるのは、『新聞記者』(19)で日本映画界に革命をもたらした俊英・藤井道人監督。今秋公開予定の最新作『宇宙でいちばんあかるい屋根』を題材に、今回の映画をどのように作ったのか、詳しく伺っていく。
第1回目となる今回は「企画編」。『スワロウテイル』(96)や『キル・ビル』(04)などの製作も担当した前田浩子プロデューサーも迎え、映画の製作が動き出すまでの流れや、プロデューサーと監督の関係性、日本で主流の「製作委員会方式」について、教えてもらった。
監督:藤井道人
日本大学芸術学部映画学科卒業。脚本家の青木研次に師事。映像プロダクション「BABEL LABEL」を2010年に設立。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(2014 年)で劇場公開作品監督デビュー。以降、『光と血』(17年)、Netflixオリジナル作品『100万円の女たち』(17年)、『青の帰り道』(18年)、『デイアンドナイト』(19年)が公開される。2019年に公開された『新聞記者』は日本アカデミー賞で最優秀賞3部門を含む6部門受賞。また他にも多数映画賞を受賞。新作映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』(今秋公開予定)が控える。
プロデューサー:前田浩子
鹿児島県出身
映像企画・制作会社、株式会社アルケミー・プロダクションズ代表取締役、プロデューサー
大学在学中から語学力を活かし、マドンナ、ローリングストーンズ、マイケル・ジャクソンなどの外国人アーティストのコンサートツアー、及び音楽番組の制作に携わり、その後映画・PV・CMに活動の場を移す。映画監督・岩井俊二と出会い、1996年に劇場用映画『スワロウテイル』で映画プロデューサー・デビュー。岩井作品は他に『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)『花とアリス』(2004年)がある。1999年『ビッグショー・ハワイに唄えば』(井筒和幸監督)プロデュース、同年『GTO 映画版』(鈴木雅之監督)のキャスティング。
その後海外作品へも活動の場を広げる。1998年長野オリンピックの米国製作記録映画、オリンピック・オフィシャル・フィルムを制作統括。1999~2003年に香港のウォン・カーウァイ脚本・監督『2046』の制作。2003&2004年公開のクエンティン・タランティーノ監督・脚本『キルビル』をプロデュース。2005年台湾映画『Silk』(チャオ・スーピン監督)のキャスティング、及び制作コーディネート。
その他主なプロデュース作品
「虹の女神 レインボーソング」(06:熊澤尚人監督)、『百万円と苦虫女』(08:タナダユキ監督)、『洋菓子店コアンドル』(11:深川栄洋監督)、『MY HOUSE』(12:堤幸彦監督)、『ぱいかじ南海作戦』(12:細川徹監督)、『星ガ丘ワンダーランド』(15:柳沢翔監督)、『オケ老人!』(16:細川徹監督)、『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』(19:細川徹監督)