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虚構の文脈で、現実を斬る――『新聞記者』が社会派映画にもたらした「若き感性」

虚構の文脈で、現実を斬る――『新聞記者』が社会派映画にもたらした「若き感性」

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 “攻めた”姿勢が評価され、スマッシュヒット



これは映画だ。私たちが生きる「現実」ではない。

しかし本作は、その境界を“同期”する。

可視化された恐怖。安穏とした日々は、画面の向こうに飛び去っていく。


 アメリカのアカデミー賞、イギリスの英国アカデミー賞(BAFTA)、フランスのセザール賞など、その国を代表する映画賞がある。日本の場合は(様々な意見はあるだろうが)、日本アカデミー賞がこれに当たるとも言われている。


 ただ、この日本アカデミー賞、何とも悩ましい代物。率直に言ってしまえば「審査は公正なのか?」「あの作品がなぜ入っていない?」等々、毎回のように映画ファンが喧々諤々の状態になる。各々の映画愛ゆえの“荒れ”といえるだろう。こと今回に至っては、ノミネート段階ではいつも以上に様々な議論を呼んだが、最優秀賞受賞発表後については、比較的異論は少なかったのではないか。藤井道人監督による『新聞記者』(19)が、最優秀作品賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞の3冠に輝いたからだ。



 映画『新聞記者』は、現役の記者・望月衣塑子の著書「新聞記者」を原案とした社会派サスペンス。業界の異端児である記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)が、内閣情報調査室の官僚・杉原拓海(松坂桃李)とコンビを組み、政府が隠す“闇”に迫っていく――という物語だ。


 明言こそしていないものの、ジャーナリスト・伊藤詩織の「性暴力被害」の訴え(本人も、公開後のトークイベントで「登場人物が自分だと思った」と語っている)や、森友学園の問題といった事件の数々が、メタファーとして(確実にそれとわかるように)盛り込まれており、フィクションの形をとりつつも、「同時代性」が非常に高い。


 劇場公開時、そうした“攻め”の姿勢が多くの観客を驚かせ、賛否が噴出。日本アカデミー賞受賞後の“凱旋上映”も合わせた累計興行収入は、6億円を突破している。


 作品の質も、話題性も、唯一無二の衝撃度も――『天気の子』『キングダム』『翔んで埼玉』『宮本から君へ』等が彩る2019年の日本映画界の一翼を担う“代表作”であることは、間違いないだろう。今回は、「構造や成り立ち」「演出や演技」といった側面から、改めて『新聞記者』の魅力を紐解いていく。



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