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キャスリン・ビグロー監督作『ゼロ・ダーク・サーティ』にみる、ビン・ラーディン殺害までの「真実」

キャスリン・ビグロー監督作『ゼロ・ダーク・サーティ』にみる、ビン・ラーディン殺害までの「真実」

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稀代の女流作家キャスリン・ビグロー



 男女間の賃金格差、社会的分離など、ジェンダーをめぐる不平等は目下の課題となっている。映画業界でも、ハリウッドの第一線では、女性監督の登用はあまり進んでいないのが実情だ。しかし、そういう逆境の中で着実にキャリアを築き上げ、圧倒的な存在感を放ち続ける、稀代の女流作家がいる。キャスリン・ビグローだ。


 爆弾処理班の視点から、戦場の厳しい現実を描いた『ハート・ロッカー』(08)で、アカデミー賞作品賞、監督賞をはじめ、主要6部門を受賞。同作では、女性監督として史上初の監督賞に輝き、また近年では、60年代後半の暴動事件を捉えた『デトロイト』(17)が高く評価された。緊迫のサスペンスを描かせれば、間違いなくトップクラスの演出家である。



 映画監督として最高のキャリアを誇る彼女だが、初期の頃は現代アートに傾倒する芸術志望の学生だった。地元の高校を卒業した彼女は、サンフランシスコ美術大学に進学し、芸術のイロハを学ぶなど画家を目指していたそうだ。同校卒業後は、ホイットニー美術館で育成プログラムに参加するなど、アートの見識をさらに深めた。その後、コロンビア大学芸術大学院に入学し、ここで映画理論を専攻。彼女はこの在学中に、短編映画『The Set-Up(原題)』を制作し、映像の世界へと飛び込んだ。


 初の商業用長編作となる『ラブレス』(82)を(モンティ・モンゴメリーと)共同監督し、次いで『ニア・ダーク/月の出来事』(87)で、単独の監督デビューを飾って以来、彼女は、様々なジャンルを描き出している。例えば、キアヌ・リーヴス、パトリック・スウェイジ共演の『ハートブルー』(91)では、FBI捜査官と銀行強盗犯の相容れぬ友情をアクションを交えて描写し、レイフ・ファインズ主演の『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(95)では、他人の記憶を体感できるヴァーチャル・システムを軸に、近未来の世界をサスペンスフルに映し出している。



 そして、前述の『ハート・ロッカー』を経て、次に彼女が題材に選んだのは、ウサーマ・ビン・ラーディン(作中での表記はオサマ・ビンラディン)殺害までの知られざる“真実”だった。第85回アカデミー賞で主要5部門にノミネートされた『ゼロ・ダーク・サーティ』(12)では、かつてのアルカーイダ指導者ウサーマ・ビン・ラーディン殺害までの顛末を、関係者の証言を基に、極めて克明に描き切っている。しかし、この映画は果たして本当に“真実”なのだろうか……。



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