アニメで、歴史を変えた人物――。2020年、その最前線にいるのが、新海誠だ。
1973年生まれの47歳。アニメーションスタジオの出身ではなく、社会人になってから独学でアニメーションの作り方を学び、監督を志すという異例のキャリアを歩む。大学卒業後はゲーム会社に就職し、激務の合間を縫って自主制作に没頭。繊細な心情表現や写実的な風景描写など、これまでのアニメ作品の概念を打ち崩す優れた作品を発表し、アニメファンの耳目を集めてきた。
そして、満を持して大手スタジオと組んだ『君の名は。』(16)が、国内興行収入250憶円超えの歴史的大ヒット(歴代4位)。彼の名前を知らない者は、国内にほぼいなくなった。その勢いはとどまることなく、世界的に脚光を浴びた新海監督は、アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーの会員にも招待されるまでに。
5月27日には最新作『天気の子』(19)のブルーレイ&DVDの発売も控え、新海作品に魅了される人々は、ますます増えていくだろう。今回は、現在「新作の構想を練っている」という新海監督が、これまでに手掛けた映画全7作品をご紹介する。
Index
新海誠監督作品まとめ(2002~2004)
1.『ほしのこえ』(02)25分
『遠い世界』(99)、『彼女と彼女の猫』(00)といった自主制作の短編で業界に注目され始めた新海監督の、記念すべき劇場デビュー作品。公開初日には、会場の下北沢トリウッドに行列ができたという。
近未来を舞台にしたSF。地球外生命体と戦う任務を帯び、宇宙に出立した少女と、地球で帰りを待つ少年の悲恋が、「メール」をキーアイテムに展開する。男女の物理的な「距離」を切なく描く、後続作品にも見られる新海監督の作家性が、早くも開花。『インターステラー』(14)にも通じる「宇宙と地球の時間のズレ」が、メールの送受信にかかる「タイムラグ」で表現されている演出は、実に見事だ。
新海監督は、監督・脚本・映像・制作といったほぼすべての役割を1人でこなし、マルチな才能を見せつけた。
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2.『雲のむこう、約束の場所』(04)91分
『ほしのこえ』で地球と宇宙の隔絶を描いた新海監督は、今度は「日本列島の分断」を軸に、男女のすれ違いを演出した。これまで同様に監督・脚本をはじめ多くの作業を新海監督が手掛けているが、吉岡秀隆や萩原聖人といった俳優の起用など、初の長編への挑戦にあたって「座組」にも明確な進化が見られる。
日本を南北に分かつ「国境」の向こうにある巨大な塔を目指し、飛行機づくりに明け暮れる2人の少年。彼らが淡い恋心を寄せる少女。3人の秘密の計画は、残酷な運命に引き裂かれていく――。
タイトルにもある「雲」の多彩な表現も美しく、青空に映える入道雲や夕焼け雲、曇天に雪空など、シーンごとに表情を変える雲の形は、登場人物の心の内を示したよう。
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