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私は映画で、悪意と戦っていく『カセットテープ・ダイアリーズ』グリンダ・チャーダ監督【Director’s Interview Vol.64】

私は映画で、悪意と戦っていく『カセットテープ・ダイアリーズ』グリンダ・チャーダ監督【Director’s Interview Vol.64】

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いい映画を作るには、純粋でいること



Q:監督が考える、心に響く映画の条件はどういったものなんでしょう?


「いい映画を作るには、とても純粋でなければいけない」――これが、私の持論です。


Q:作り手のピュアさが、作品に瑞々しさを与えるんですね。最後に、監督がこれまで影響を受けた作品や作り手を教えていただけますか?


グリンダ:『The Evacuees』(75)、『Bar Mitzvah Boy』(76)、『Ready When You Are Mr. McGill』(76/03)といったテレビ作品の脚本家ジャック・ローゼンサール。ユダヤ系英国人の体験というものを作品に落とし込んでいる人です。私にとって、違うコミュニティの姿がスクリーンに映っている初めての経験でした。




あとはドラマの『フライデー・ナイト・ライツ』とか……。若いころに観て、すごく影響を受けた映画『カー・ウォッシュ』(76)を最近見返したら、やっぱり素敵でしたね。洗車場を訪れた様々な人々を見つめた一種のアンサンブル映画で、それぞれが社会に期待されること、型にはめるのではなくて、人としてどうよくいられるだろうか、といったことを描いています。私も映画デビュー作に同じようなテーマを扱っているので、思い入れは深いですね。


そして、『東京物語』(53)。家族や世代、伝統が現代社会においてどう生きてくるのかを描いていて、すごく好きな作品です。


また、社会問題を扱ったコメディという点では、スティーブン・ソダーバーグがやっぱり素晴らしいと思います。



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監督・脚本・製作:グリンダ・チャーダ

1960年生まれ。ケニヤ・ナイロビ生まれのインド系。ロンドンで育つ。BBCニュースの放送ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせ、1989年から監督業に転身してBBCでドキュメンタリーを制作。フィクションの長編2作目のコメディ『What’s Cooking?(原題)』(00)は、ニューヨーク映画批評家協会賞の観客賞を受賞。有名サッカー選手に憧れる少女を描いた『ベッカムに恋して』(02)はゴールデン・グローブ賞作品賞のコメディ・ミュージカル部門候補、英国アカデミー賞の英国作品賞候補、ヨーロッパ・フィルム・アカデミーの作品賞候補、全米脚本家組合の最優秀脚本賞候補となった。その他の作品に、ジェーン・オースティン原作「高慢と偏見」をベースにインドとハリウッド風ミュージカルをミックスさせた『Bride & Prejudice(原題)』(04)、世界的ベストセラーの映画化『ジョージアの日記/ゆーうつでキラキラな毎日』(08)、『It’s a Wonderful Afterlife(原題)』(10)、インド・パキスタン分離独立についての大作ドラマ『英国総督 最後の家』(17)など。

製作会社ベンド・イット・ネットワークスの代表。映画、テレビ、演劇、配信に渡り多文化の物語を作っている。2015年には『ベッカムに恋して』の舞台ミュージカル版を上演。英国映画協会による英国映画史の最近のフィルモグラフィー研究では、現役の最も多作な女性監督として挙げられている。2006年に大英帝国勲章を叙勲。



取材・文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「シネマカフェ」「BRUTUS」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema






『カセットテープ・ダイアリーズ』

2020年7月3日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー

配給:ポニーキャニオン

(c)BIF Bruce Limited 2019


※記事内容に一部不適切な表現がありましたので、該当箇所を修正させていただきました。

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