1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. サンダーロード
  4. 『サンダーロード』B・スプリングスティーンからジム・カミングスへ。描き継がれるアメリカ庶民の現実
『サンダーロード』B・スプリングスティーンからジム・カミングスへ。描き継がれるアメリカ庶民の現実

『サンダーロード』B・スプリングスティーンからジム・カミングスへ。描き継がれるアメリカ庶民の現実


Index


なぜB・スプリングスティーンの曲が選ばれたのか?



 今大注目の才人ジム・カミングスが、監督、主演、脚本、音楽、編集の一人五役を務めた映画『サンダーロード』は、ブルース・スプリングスティーンが1975年に発表したアルバム「明日なき暴走」の一曲目「涙のサンダーロード(原題:Thunder Road)」がタイトルの由来になっている。


 映画の冒頭、主人公の警官ジェームズが母親の葬儀のスピーチで、母親が大好きだった「涙のサンダーロード」を流そうとする。夢を追うために田舎町を飛び出そうとする若者が恋人に「一緒に行こう」と誘いかける歌詞は、映画のクライマックスともみごとに呼応するのだが、ネタバレになるのでここでは詳しくは触れない。


 数あるポピュラーソングから「涙のサンダーロード」を選んだ理由は、カミングス自身が明かしている。映画『サンダーロード』はカミングスが2016年に発表した同名の短編を長編化したもので、最初の着想は、友人の知人が母親の葬儀で、参列者を前にして歌を歌ったという話を聞いたことだったという。




 一体、その人物はなぜ葬式で歌なんか歌ったのか? カミングスは心情に思いを巡らせ、心を痛めた人間が、いろいろ考えたあげくのことだったに違いないと考えた。そして「もし自分だったら母親の葬式で何を歌うか?」と自問して唯一浮かんだのが、カミングスの母親のお気に入りだった「涙のサンダーロード」だった。


 カミングスはWEBサイト「MUSICBED」のインタビューで、「もし葬式で「涙のサンダーロード」を歌えば、大失敗して大恥をかくだろうし、本当に可笑しくて、それでいて誠実な行為になるだろうと思った」と語っている。このコメントを言い換えれば、『サンダーロード』は「誠実さを追い求めるあまり、醜態をさらしてしまう不器用な男」の物語であると言えるだろう。



PAGES

この記事をシェア

公式SNSをフォロー

counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. サンダーロード
  4. 『サンダーロード』B・スプリングスティーンからジム・カミングスへ。描き継がれるアメリカ庶民の現実