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『佐々木、イン、マイマイン』内山拓也監督×細川岳 エンターテインメントから逃げないと決めていた【Director’s Interview Vol.96】

『佐々木、イン、マイマイン』内山拓也監督×細川岳 エンターテインメントから逃げないと決めていた【Director’s Interview Vol.96】

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タイトルに人物名が入った映画



Q:『佐々木、イン、マイマイン』というタイトルがすごくキャッチーで、まさにこの映画を体現しています。タイトルはどのように決められたのでしょうか。


内山:元々は、岳が書いていた小説のタイトル“佐々木”から始まっているのですが、途中で紆余曲折を経て何度も変わりましたね。脚本段階では、映画の中に出てくる劇中劇のタイトルから取って『ロング・グッドバイ(仮)』だった時期もありますし、NUMBER GIRLの「OMOIDE IN MY HEAD」という曲のような読後感のある映画にしたくて、僕らなりの『OMOIDE IN MY HEAD』にしたいねって言ったりもしていました。


また、個人的には、映画のタイトルが登場人物の名前になっている映画を作りたいなと以前から思っていました。洋画だとたまにあるのですが、邦画ではあまり見かけない。だからこそやろうって提案して、僕と細川と、プロデューサーとして入ってもらった汐田さんの3人で案を出し合いました。「イン、マイ、マイン」はその時出てきた汐田さんの案ですね。


映画を見終わった後にそのタイトルの意味を感じられて、尚且つ軽やかな手触りで色々と考えさせられるようなもの。そうやってみんなの意見を集約させて、最終的に『佐々木、イン、マイマイン』になりました。



 

Q:このタイトルはすごく強いですよね。そして、その意図の通り、映画を観終わるとその意味が腑に落ちるものになっていると思います。このタイトルにもある“佐々木“は細川さんの同級生がモデルということですが、本当に映画に出てくるような感じの男子だったんですか?


細川:映画だと、女子からは煙たがられて、男子には人気があるような感じですが、実際は女子も男子も煙たがってました(笑)。映画に出てくる“佐々木コール”も実際に存在したんですが、全裸で踊るだけじゃなくて、ちょっと言えないようなことまでしてましたね(笑)。


Q:その佐々木を中心に、藤原季節さん演じる悠二と、多田と木村、この四人の距離感がすごく心地よく、友達ってこういうことだよなと懐かしくも感じました。この辺のキャラクターや配置はどのように作られたのでしょうか。また、今お話を伺っていてふと思ったのですが、役者をやめようと思っていた細川さんは、実は悠二のモデルなのでしょうか?


細川:小説から脚本に起こす際に内山に言われたんです。「これはお前の心の奥底にある話だから、お前の中に残っている友達や出来事、そういうものを全部書き出して、俺にくれ」と。そういう意味では僕の話が元になっているがゆえ、映画の登場人物にはそれぞれモデルはいます。ですが、個人を特定するというよりも、関係性も含めていろんな人物がハイブリッドになっていますね。


内山:モデルになった人物はもちろんいるのですが、基本的にはいつもの映画づくりと同じように、一からキャラクターを作ってその関係性を構築していきました。また、タイトルに“佐々木”が入っていることも関係するのですが、あえて主人公じゃない佐々木が、真ん中にいるのがいいなと思っているんです。


佐々木の周囲の人間が、彼を見ることによって、自分をどう見つめて、何をしたのかということを描きたい。佐々木自身の話というよりも、佐々木を見ているみんなの気持ちを作っていくことにしました。


で、なんで岳が悠二役じゃないのかっていうのはあるのですが…。



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