二人で合致した役者・藤原季節
Q :キャスティングの話になってきますね。
細川：自分で企画している以上、やっぱり主人公を演じたかったり、悠二は僕だから自分で演じるべきなんじゃないか、とか…、正直いろんな気持ちがありましたね。でもその時、内山が言うんです。「お前が悠二を演じて、他の役者が佐々木を演じて成功した未来か、お前が佐々木を演じて、誰かが悠二を演じて失敗する未来、どっちが後悔するんだ」と。
内山：失敗してもいいから、佐々木が見ていたその景色を見たくて、佐々木を描こうとしたんじゃないのって。そう言いたかったんです。
細川：佐々木を演じたくて、この話を作り始めたのですが、実はそこからずっと逃げていたんです。佐々木を演じるビジョンが全然見えなかったんですよね。
内山：僕は岳に「逃げるな」って遠回しに言っていました。それで岳も、ある時から覚悟を決めて、晴れて佐々木役に決まりました。
Q：今の細川さんを見ても、あの佐々木を演じた人には全然見えません…。劇中ではそれくらい佐々木が憑依していましたよね。佐々木が細川さんに決まり、佐々木の友人たち、悠二、多田、木村などはどのように決まっていったのでしょうか。
内山：木村を演じた森優作くんは、岳の元からの知り合いだったこともあり出会いましたが、出会いとは関係なく脚本が完成する前の段階から、森くんには木村のようなキャラクターを演じてもらいたいと思っていました。多田役をやってくれた遊屋慎太郎は、オーディションでの出会いですね。とにかくオーディションで多田に感じるものが沢山あって、僕がかなりプッシュしました。
Q：悠二役の藤原季節さんはどのように決まったのでしょうか。
細川：僕が佐々木を演じるとなると、じゃあ悠二は誰が演じるんだって話になるわけですが、僕らの同世代の役者って、良い芝居をする人がいっぱいいるんですよ。そんな中で、パッと藤原季節が思い浮かんだんです。他の作品で共演したこともあるのですが、日々抑えている熱を、解放して溢れ出させるような彼の演技がすごくて、あんまり同世代を認めたくないんですけど、すごく良い役者だなって思っていました。それで内山に提案したんです。
内山：キャスティングに関しても、まずは岳の気持ちを出してもらった方が良いと思っていたので、あえて岳に提案してもらいました。でも実は僕の中でも、藤原季節というカードは持っていたんです。そんな中で岳と、藤原季節で一致していたので、反対する理由も全くなく、僕らの中ではスッと決まりましたね。
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