松坂&仲野が演技に深くハマった、“あの頃”
Q:松坂さんと仲野さんは芸能活動を始めた時期も割と近く、同じ景色を観てきたかと思いますが、お互いに「あの頃」から、どう変化してきたと感じていますか?
仲野:ずっと気になっていたんですが、初めて会ったのは『アントキノイノチ』(11)じゃないですか。あの時から数年後の間に、大きな心境の変化がありました? 傍から桃李くんを見ていて「雰囲気が変わったな」と感じていたんです。
松坂:あの頃は、まだ大学に籍を置いて、休学しながら活動していたんですよ。大学に戻るという選択肢も若干残っている中で、『アントキノイノチ』や他の作品をやらせてもらう段階で、「映像の仕事って面白いな」と思い始めた時期でした。
仲野:なるほど、そういうことだったのか。
松坂:『アントキノイノチ』で瀬々敬久監督に出会えたことも大きかったですね。悪いほうの役を演じるのが初めてで、自信も経験も引き出しもない中で瀬々監督にしごかれ、訳も分からずやっていたんですが、完成品を観たときに「あのとき瀬々監督がおっしゃっていたのはこういうことだったのか!」と思えたんです。
あの瞬間「観て、知る」を経験したというか、作品に対する向き合い方への覚悟を持てたように感じています。プラス、積み重ねですね。『ツナグ』(12)で樹木希林さんとご一緒して、『孤狼の血』(18)で役所広司さんとご一緒して……。出会いの積み重ねによって、作品への向き合い方の“色”が濃くなっていったような感じがあります。
Q:仲野さんは、いかがですか?
仲野:僕自身、憧れとやりたいという想いが強くて始めたから、中学生くらいの頃からモチベーションは変わらずここまで来た気がしますね。
ただ、いま思い返すと林遣都くん主演の『バッテリー』(07)で、萩原聖人さんにお会いしたときにビビッときたことがありました。ほぼほぼデビュー作のような作品でしたが、対面したときに「お芝居が上手い人って、こういう人のことを言うんだ」と感じたんです。
Q:萩原さんは、仲野さんや林さんが演じた野球少年が属する、野球部の監督の役でしたね。
仲野:そうです。それまでは年の近い子たちとわちゃわちゃ演技をする感覚だったのが、萩原さんや天海祐希さん、菅原文太さんといったプロの俳優さんを目にして、すごく衝撃を受けて。自分なりに真似しながら、「演技ってこういうことなのかな……」と考えていました。
松坂:そうだったんだ。面白い。