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あの頃を経て『あの頃。』へ――。松坂桃李&仲野太賀が語る、十余年ぶんの役者遍歴【Actor's Interview Vol.11】

あの頃を経て『あの頃。』へ――。松坂桃李&仲野太賀が語る、十余年ぶんの役者遍歴【Actor's Interview Vol.11】

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娼年』(18)、『孤狼の血』(18)、『新聞記者』(19)など、出演作が発表されるたびに観る者を驚かせてきた松坂桃李。『泣く子はいねぇが』(20)や『すばらしき世界』(2月11日公開)など、噛み応えのある力作が連続公開され、ますます勢いに乗る仲野太賀。ドラマ『ゆとりですがなにか』(16)などで共演してきたふたりが、新たに顔を合わせた。


さぁどんな物語だろう、と思いきや、「ハロー!プロジェクト」に熱狂するアイドルファンを演じるという。しかも、監督は『愛がなんだ』(19)の今泉力哉、脚本は『南瓜とマヨネーズ』(17)の冨永昌敬というではないか。予想の斜め上を行く展開に、「やられた……」と嘆息したものだ。


劔樹人の自伝的コミックエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」を実写映画化した、『あの頃。』(2月19日公開)。毎日にやりがいを見出せない劔(松坂桃李)は、松浦亜弥の「♡桃色片想い♡」のミュージックビデオを観たことで活力を取り戻し、「ハロー!プロジェクト」のファンであるコズミン(仲野太賀)、ロビ(山中祟)、西野(若葉竜也)、ナカウチ(芹澤興人)、イトウ(コカドケンタロウ)といった仲間たちと「オタ活」に熱中していく。


今泉監督らしい、柔らかく温かな世界にスッと溶け込み、クスクスと笑わされるような“陽の演技”で観る者を魅了する松坂と仲野。今回は作品の話はもとより、互いの“あの頃”を振り返る、濃厚な役者談義をお届けする。


Index


お互いの役者としての評価は、「彩り」「底知れない」



Q:『あの頃。』、好きなものに出会えた喜びを改めて感じさせてくれる素敵な映画でした。


松坂:おおっ。


仲野:ありがとうございます!


Q:松坂さんと仲野さんの掛け合いも素晴らしかったのですが、お互いに役者としてどんなイメージをお持ちですか?


松坂:(仲野)太賀は百戦錬磨ですよね。様々な現場で色々なことを経験して、多くの方と一緒に仕事をしているイメージがあります。作品ごとに「今回はこういう感じか」と、毎回新鮮味を持って向き合わせてくれる。「彩り」がすごいんです。


太賀とは、舞台、連ドラ、映画、スペシャルドラマ……全部のジャンルでやっているんですよ。でも、どれをとっても「その役を好きにさせる」能力がずば抜けていて、本当に魅力的に感じています。『ゆとりですがなにか』(16)のときも、山岸はちょっと嫌われる感じの役だったけど最終的には好きになっちゃったし(笑)。


仲野:いやいや(笑)。宮藤官九郎さんの脚本が素晴らしかったおかげです。




Q:スピンオフドラマ『山岸ですがなにか』(17)も制作されましたね。


松坂:ありましたね! あれは太賀の実力で作られたようなものです(笑)。


仲野:そんなそんな!本当にありがたかったです(笑)。


(松坂)桃李くんとは、5・6回共演させていただいていますが、どれも濃いですね。それなのにいつも別人のように感じています。演じる役を丸々、松坂桃李という「入れ物」の中に入れていく感じというか…。桃李くんは役によって、(役の)“色”を表現することもできれば、哀しみを背負うこともできる。根の深い所で役とシンクロする方だなと思います。


普段の桃李くんも知っているけど、役へのアプローチを絶対見せないじゃないですか。


松坂:見せないね(笑)。


仲野:そう、だから桃李くんには、どういう風にこの役にたどり着いて向き合ってきたかを決して見せない美学があるだろうなと感じつつ、でもそこが素敵ですよね。きっと陰で、想像しえないような努力をしていると思いますが、過程を見せないからこそ「底が知れない」と感じるし、毎回「こんな顔もあるんだ」と驚かされます。


松坂:これ……恥ずかしいですね(笑)。


仲野:ね。恥ずかしい(笑)。




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