映画製作未経験の芸人をクリエイターとして参加させた意図とは？
Ｑ：今回は色々な芸人さんや作家さんが、出演だけでなく脚本や監督などでも活躍されています。オファーしていく基準はどんなポイントだったんですか？
神夏磯：まず、企画の想いに賛同してくれるかどうか、というところですね。役者さんには短期間で脚本を読み込んでもらわなければならないし、脚本担当には「今から新しい脚本を書いてほしい」という話から始まりますので、それをやってもらえるだけのパッションがあるのか、という。
Ｑ：芸人さん同士の共演もありますが、ほとんどが芸人×俳優のコラボですね。
神夏磯：芸人さん同士のコラボは普段からよく見る光景なので、普段見られないコラボを実現したい、というのは大前提にありました。弊社・吉本興業の芸人さんは、ネタやトークが面白いだけでなく、モノづくりにおいてのトップクリエイター達だと普段から思っていますし、その芸人さんたちに、どのような外部の俳優やクリエイターの方々を掛け合わせると面白いのか？という目線でキャスティングを進めていきました。
©「半径1メートルの君～上を向いて歩こう～」製作委員会
Ｑ：粗品さんが初脚本、初監督。ジャルジャル福徳さん、3時のヒロイン福田さんが初めて脚本を書かれています。未知数な方々へのオファーはチャレンジングですね。
神夏磯：僕の仕事の根幹はタレントプロデュース業なので、「このタレントさん、まだ世の中に出せていない凄い才能があるのにな」と、思っていることが普段からたくさんあるんです。M-1、R-1チャンピオンの粗品さん、キングオブコントチャンピオンの福徳さん、THE Wチャンピオンの福田さん、は間違いなく「モノづくりの才能」「物語を生み出す才能」がある。
ただ、いきなり大作の脚本を一人で書いてもらう、というのはいろんな意味で重荷になりますからね。10分前後のオムニバス作品で僕仕切りの範疇だったら、新しい才能の扉を開けるんじゃないか、という裏テーマもありました。
Ｑ：コメディや、感動もの、さらにジャンル不明なものもあり、ストーリーの幅がとても広いです。脚本を担当したクリエイターへのリクエストは、どんなものだったのでしょう？
神夏磯：まずは尺です。10分前後のストーリーであること。もう一つは「最後に嫌な気持ちになることだけはやめてください」ということ。上を向いていける、明るい気持ちになる終わり方だったら、極端な話、それまでに暴力シーンや悲しい場面があっても構わないです、と。お笑いでも構わないし、ずっと泣いていても構わないけど、最後は前向きな気持ちになれる、そこだけはルールにさせてください、とお願いしました。
このたった2つの共通テーマの中でクリエイターの皆さんに、どれだけ自由に個性を出して遊んでもらえるか、ということを考えました。
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