登場人物がどう行動をすると、お客さんが違和感なくついてこられるか
Q:今回の2作に共通して言えるのは、主人公は、その状況から逃げようと思えば逃げられるのに、様々な縛りで逃げられない。その辺りの脚本のさじ加減が難しそうですね。
岩崎:難しいですよね。そもそもコントが、そういうものなんですよ。僕はお笑い始めたての頃に先輩にめちゃくちゃ言われたんですよ。
例えばコントで、ある店の店員さんが変な人で、来店したお客さんが、「ちょっとこれおかしいじゃん!」って突っ込む。そういうコントをやると、よく言われたのが、「だったらお客は突っ込む前に、その店出て、他に行けばいいじゃん」って。「じゃあ今まで、そういうコントやってきた人全員にそれ言ってよ!」って思いましたけどね(笑)
でも確かに下手すると、突っ込んでる人の方が異常者に見えてくるんですよ。店に居座って、どうしようもない人に対して高圧的に突っ込んでるわけですから。でもツッコミの人は観客の代弁者なんで、本当はちゃんとしなきゃいけない。
だから登場人物がどう行動すると、お客さんが違和感なくついてこられるか、行動の「理由」っていうのは絶対必要なんですよね。この人はここまではステイするけど、これ以上いったらアウトするっていうところの、なるべくギリギリを攻める。ギリギリじゃなかったら面白くないから。
Q:岩崎さんは自分で脚本を書きながら、役者としても現場にいたわけですが、監督と解釈が食い違うことはありましたか?
岩崎:ありましたね。例えば、「これ、もしかしたら脚本の意図が気づかれてないかも…」っていうのはあって、やっぱりそこは伝えた方がいいんじゃないかっていう時はありました。特に笑いの部分に関しては。
自分が脚本を書いたドラマに役者として出るっていうのは初めてで、最初は「これ、すごいいいじゃん」と思ってたんですよ。自分で内容わかってるし。ただやっぱり現場で、監督さんがやりづらそうだなっていう(笑)。
でも、すごく僕のことを尊重してくれて。役者として演じる時に、「脚本はこうだけど、現場だと言葉も変わってくるな」とか、あったんです。それを監督と相談しつつ変えさせてもらったりして、それはよかったですね。