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『くれなずめ』松居大悟監督が脱した“不安”。成長の先に、初期衝動への回帰があった【Director’s Interview Vol.119】

©2020「くれなずめ」製作委員会

『くれなずめ』松居大悟監督が脱した“不安”。成長の先に、初期衝動への回帰があった【Director’s Interview Vol.119】

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2021年の日本映画の盛り上がりに対して、思うこと



Q:松居監督は、「日常」と「創作」は分けて過ごすタイプですか?


松居:いや、分かれていないですね。アイデアは出そうと思って出すときもあれば、日常の中でポッと出てくることもあります。お酒を飲みながら台本を書くこともあります。


Q:そうなんですね! たとえば劇中の欽一(高良健吾)の「ヘラヘラしようぜ」というセリフなど秀逸なものが数多くありましたが、どうやって生まれてきたのだろうなと思って。


松居:あれは映画オリジナルですね。あのシーンの直前に、明石(若葉竜也)が「何死んでんだよ」と初めて言うんです。あれは友だち同士でも言っちゃいけないことというか、越えちゃいけない線を越えてしまったところだと思います。だからこそ、欽一はあのセリフを言ったと思いますね。

 

©2020「くれなずめ」製作委員会


Q:世間的にいま「2021年の日本映画がすごい」と盛り上がっていますが、松居監督自身の“体感”はいかがですか?


松居:あぁ、確かに言われてみれば話題作の公開が続いていますね。たまに「日本映画は2年に一回いい年が来る」と聞きますが、僕としては“静”の年にやりたいです(笑)。むしろ埋もれちゃうから、外そうとはしているんです。


こういう状況ですから作品も減るかと思っていたし、本作を撮っているときは「これはライバルが少なさそうだ。しめしめ」なんて思っていたんですよ。諸々落ち着いて、皆さんが映画を観たくなったときに「『くれなずめ』やってるじゃん」となればいいなと思っていたのに、盛り上がっちゃって……。敵が増えちゃいましたね(笑)。



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監督・脚本:松居大悟

1985年11月2日生まれ。福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰、全作品の作・演出を担う。2012年、『アフロ田中』で長編映画初監督。その後『スイートプールサイド』(14)、『私たちのハァハァ』(15)、『アズミ・ハルコは行方不明』(16)、『アイスと雨音』(18)、『君が君で君だ』(18)、『#ハンド全力』(20)など。枠に捉われない作風は国内外から評価が高い。20年に自身初の小説『またね家族』を上梓。4月9日より映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』公開中。



取材・文:SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema




『くれなずめ』

5月12日(水)から、テアトル新宿ほかにて公開

監督・脚本:松居大悟

出演:成田 凌 若葉竜也 浜野謙太 藤原季節 目次立樹/飯豊まりえ 内田理央 小林喜日 都築拓紀(四千頭身)/城田 優 前田敦子/滝藤賢一 近藤芳正 岩松 了/高良健吾

主題歌:ウルフルズ「ゾウはネズミ色」(Getting Better / Victor Entertainment)

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