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 「ジェットジャガー」ゴジラと共闘した電子ロボット【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.58】

「ジェットジャガー」ゴジラと共闘した電子ロボット【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.58】

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『ゴジラ対メガロ』から『シンギュラ・ポイント』へ



 新たなるゴジラ世界を見せてくれるTVアニメシリーズ「ゴジラ S.P<シンギュラ・ポイント>」が最終話を迎えた。ゴジラはもちろん、往年の東宝怪獣が新解釈の造形で登場し、知能を武器に立ち向かう若者たちを中心に、怪獣と新しいマテリアルを巡って暗躍する大人たち、かわいいAIキャラといったアニメならではの要素のほか、科学のみならずオカルトの要素をゴジラに盛り込んだところが新鮮に感じる。登場するゴジラは『シン・ゴジラ』を彷彿とさせるような段階的な変態を遂げるのだが、最終形態であるゴジラ・ウルティマの造形が素晴らしい。大きな身体を支えるにふさわしいどっしりした脚部に、大きな牙とがっしりした下顎を持つ頭部は、力強く、そして獰猛そうだ。『シン』でのゴジラ(第四形態)を「お化け」や「妖怪」のような雰囲気だとするなら、このウルティマは「怪物」といった形相である。個人的にはハリウッド版を含めた平成以降の造形で最も好きなタイプと言っていいかもしれない。


 ウルティマ以外にもお気に入りはなんと言ってもジェットジャガーだ。「S.P」でのジェットジャガーを語る前に、そもそものオリジナルのジェットジャガーについて簡単に触れておこう。初めて登場したのは『ゴジラ対メガロ』で、もともとは主人公の青年科学者・伊吹が開発した人間サイズの人型ロボットだった。ところが、地下核実験によって安住の地を脅かされ、地上の世界に報復を目論んだ海底人によって、怪獣メガロを誘導するのに利用されてしまう。遠隔操作ができて高速で飛行する高性能なロボット、というのが狙われた理由らしい。かくして海底人に操られたジェットジャガーは、地下から目覚めさせられたメガロを地上の都市へと導いてしまう。


 「S.P」でのジェットジャガーは主人公のひとり有川ユンが属する町工場で造られ、怪獣退治にあたるロボットである。当初は人が乗り込んで操縦するタイプとして登場するのだが、これがどこか重機的な雰囲気を持っており、トラックの荷台に載せられて運ばれるといった生活感がいい(この一見スマートでない生活感が「S.P」のおもしろさのひとつでもある)。操縦席の窓にあたる部分は金網が入っているところなんかも手作り感、荒削りな感じがしてリアルだし、ボディにボルトというかリベットというか、鋲が打ち込まれているところも町工場製っぽい。ストーリーが進行すると、ユンのアシスタント役のAIがインストールされ、無人で動く自律したロボットへと進化した。


 『メガロ』のジェットジャガーは海底人の制御を脱して主人公たちの側へと戻ると、怪獣島で暮らすゴジラに助けを求め、その到着を待つ間に突如巨大化してメガロを足止めしようとする。この巨大化はかなり唐突だが、どうやら人工知能による強い意志の力で巨大化したということらしい。そんな少し低年齢向けの感があったオリジナルのジェットジャガーを、「SP」版ではいろいろ理屈をつけながらうまく新しいロボットに生まれ変わらせたわけだが、こう見るとアニメーションと相性のいいキャラクターだったのかもしれない。ジェットジャガーの出演は『メガロ』が初めてで唯一でもあったが、「S.P」での登場をもって実に48年ぶりの復活を果たした。




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