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『ライトハウス』ロバート・エガース監督 小学生で怪奇映画に没頭。A24が惚れた鬼才の“原点”【Director’s Interview Vol.125】

(C)2019 A24 Films LLC. All Rights Reserved.

『ライトハウス』ロバート・エガース監督 小学生で怪奇映画に没頭。A24が惚れた鬼才の“原点”【Director’s Interview Vol.125】

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A24の最大の強みは、マーケティングにある



Q:『ウィッチ』『ライトハウス』とA24とのコラボレーションが続きますが、エガース監督にとってはどんな存在ですか?


エガース:とても良い会社だと思いますよ。『ウィッチ』については、完成品を彼らが買って配給したので、僕たちの関係はマーケティングから始まったわけです。どの作品を買い付けるのかの決定権を持っている方たちと、自分の作品のテイストが合ったからこそコラボレーションに至ったわけですから、好きなものに対する相性は良いのだと思います。


その後に『ライトハウス』を作ろう、となったのですが、作品の内容については好きなようにやらせてもらえました。A24の凄さというのは、マーケティングにあると個人的には思います。『ウィッチ』にしても『ライトハウス』にしても、売り方や見せ方など、話題作りが抜群に上手いですよね。


今作っている『The Northman』は大作で、A24ではなくリージェンシー・エンタープライズと一緒になって制作しています。一方でA24の場合は、制作段階では完全にこちらに任せてくれて、マーケティングの段階でがっつり一緒にやる、というスタイルなんです。制作に関しては、A24は本当に自由ですね。



『ライトハウス』(C)2019 A24 Films LLC. All Rights Reserved.


Q:なるほど、そうした違いがあるのですね。以前アリ・アスター監督にお話を伺った際、若手監督たちが交流する機会が多いとお聞きしました。冒頭にお話ししたポッドキャストもそうした一貫かと思います。

エガース:僕はいまロンドンに住んでいるのですが、以前は、A24のオフィスがあるニューヨークに住んでいました。それもあって、友人や家族を招いた関係者試写に呼んでもらえました。


また、新作のプレミアをよくニューヨークの映画館「Metrograph」で行うのですが、そこに行くとA24系の若手監督がたくさんいましたね。『ヘレディタリー/継承』(18)も、そこで観ることができました。アリやジョシュ・サフディとは、そういった中で知り合いました。


挨拶して知り合って仲良くなって……「仲間ができる」機会は、すごく大事だと思います。それこそ『The Northman』の制作段階のカットをアリに送ったり、アリは自分の準備中の話をしてくれたり、お互いに自分たちの作品について共有しているのですが、それができるのはA24が機会を作ってくれたおかげです。すごく感謝していますね。


ロンドンという街も、ヨーロッパで仕事をするのも大好きなのですが、そうしたニューヨークの交流の機会がなくなってしまったのは寂しいですね。もちろん、いまはパンデミック中なので、どちらにしてもできないのですが……。


もっと年上の父親的存在のベテラン監督に助けてもらって、アドバイスをもらうことは大事ですし、そういった方々に感謝もしています。ただ、それとは別の意味で、同年代の切磋琢磨しあえる仲間は絶対に必要だと思います。



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監督・脚本:ロバート・エガース

ブルックリンを拠点とする監督・脚本家。 ニューハンプシャー出身のエガースは、ニューヨーク市で監督兼デザイナーとして演劇制作のキャリアをスタート。 やがて映画に移行し、いくつかの短編映画を監督した後、映画、テレビ、出版物、演劇、ダンスの分野で幅広く活動した。 監督兼脚本として長編映画デビューを果たした『ウィッチ』は、2015年サンダンス映画祭でUSドラマ部門の監督賞を受賞し、高い評価を得た。 同作は、インディペンデント・スピリット賞の最優秀新人作品賞と最優秀新人脚本賞の2つを受賞。 続く『ライトハウス』では、アカデミー賞®撮影賞にノミネートされた他、カンヌ国際映画祭 FIPRESCI賞など数多くの映画賞を受賞。 その才能を世に知らしめた。 現在は、F.W. ムルナウの古典映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』(22)のリメイクを含むいくつかのプロジェクトが進行中。



取材・文:SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema




『ライトハウス』

7/9(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

配給・宣伝:トランスフォーマー 

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