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『キングコング対ゴジラ』から『ゴジラvsコング』へ 約60年越しに完成する対決【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.59】

『キングコング対ゴジラ』から『ゴジラvsコング』へ 約60年越しに完成する対決【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.59】

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壮大にアップデートされた『ゴジラvsコング』



 巨体と巨体、パワーとパワーのぶつかり合いを、スクリーン目一杯に見せつけてくれた『ゴジラvsコング』(21)は、ゴジラとコングの世紀の対決という大枠以外の細部に至っても、1962年の『キングコング対ゴジラ』の面影を多く残した作品だった。劇場に足を運ぶ前夜に旧作を見返したこともあって、今作はそれをほとんどそのままアップデートしたかのような印象でさえあった。


 『キングコング対ゴジラ』は、基本的には人間たちがキングコングの側に立ってゴジラを打倒させようとする筋書きだ。視聴率狙いのテレビ局員たちによって、ソロモン諸島のファロ島から日本へと連れ出されたキングコングだったが、ときを同じくして前作で氷の中に閉じ込められていたゴジラが再び姿を現し、本能的に日本を目指してやってくるだろうと予測される。テレビ局員と番組のスポンサーである製薬会社は、当初こそコングを見世物的に紹介して高視聴率を取ろうと画策していたが、ゴジラの出現によってコングの存在はその対抗策として注目され、事態は二大怪獣の対決へと発展する。


 一方、今回の『ゴジラvsコング』は、前作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』にてゴジラが太古よりの強敵キングギドラを倒し、ついに王者として君臨したあとの世界。各地で怪獣たち(本シリーズでは「巨大生物=タイタン」と呼ばれる)が確認され、コングもまた故郷の髑髏島で研究機関モナークの保護と管理を受けることになる。ゴジラが王座を奪う敵として認識し、コングを攻撃してくるかもしれないからだ。しかし、難航している地下空洞への探検でコングが役立つかもしれないという可能性が持ち上がる。地上とは全く別の生態系を持つその巨大な地下空洞は、タイタンたちの生まれ故郷かもしれず、コングが帰巣本能によって空洞にたどり着けば、人類をその秘密へと導いてくれるかもしれないというのだ。


 かくして、コングと人間たちの地下空洞への旅が始まるが、同じ頃、それまで人類の側に立って他のタイタンと戦ってきたゴジラが、突如として都市を攻撃し始めていた。果たして怪獣王は人類の敵となったのか、コングはそれに対する希望となり得るのか……。


 というわけで、今作でも主眼はコングの側へと置かれ、対するゴジラは一見意思疎通の難しそうな脅威として描かれている。もっとも、ゴジラの行動には理由があることがあとでわかるのだが、人類側とある程度のコミュニケーションをとり、行動をともにするコングに対し、ゴジラは今一度得体の知れない恐ろしい存在へと戻され、その本領を発揮しているとも言える。洋上の初戦ではゴジラに分があり、コングは圧倒されるが、すでに表情豊かなコングに感情移入している観客にとって、ゴジラは改めて恐ろしい存在として映る。追い詰められるコングの必死の抵抗や迫力の激突シーンは、まるで『キングコング対ゴジラ』での決闘の続きを見ているかのようだった。旧作は両者が戦いの末に海へ落ちたところで終わってしまうからだ。





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