オリジナルと原作モノ
香田:オリジナルをやりたいと言っても、そう簡単にやれるものではないですよね?
本広:めちゃくちゃ難しいですよ。評価のある原作モノじゃないと、メジャーではヒットしないと思われているんです。オリジナルで2~3本立て続けにヒットが出れば変わってくるのでしょうけど、なかなか難しいですよね。
内田:「メジャー映画で作家性を貫くのは難しいのか?」という質問において、作家性=オリジナルだと仮定すると、今まではNOだったと思います。ただ今後はそれをやっていかないとダメなのかなと。今は転換期だと思っています。
オリジナルをやりたい若いやつもいっぱいいますし、元々映画単体として撮りたいという人たちが多いわけですから。そこはなんとか盛り上げたいですし、今後は増えていくのではないかと思っています。映画館の数やスクリーンを増やして、ちょっと個性的な作品を観られる環境が増やせるといい。意外と日本の観客は飢えているんじゃないかな。
行定:今の意見に反論というわけではないのですが、作る側も観る側も概念で捉えてますよね。観る側でいうと、概念に囚われているものが良しとされている。僕は概念に囚われてはいけないと思っています。オリジナルで脚本を書いて、今までにない創造物を提示するというのが一番わかり易い。観たことがないものだから皆驚く。でもそうではなくて、原作や原案があったとしても、オリジナルに近い、概念にとっ捕まってない演出をしていたり、はみ出しているものもあると思う。
観客が色んな映画の鑑賞が選択できる中で、どの映画も同じ1,900円で全部並べられている。どんな状況で作られていても同じ。僕らは常にそこで戦っている。概念にとっ捕まっていない作り手の作品に面白さを見出していくこと。それを沢山の人にシェアしていければ、どんどん新しいものが生まれていく可能性があるんです。