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変化を迫られる日本映画 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜 イベントレポート Vol.2(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.20】

変化を迫られる日本映画 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜 イベントレポート Vol.2(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.20】

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これまで、映画の作り方について特集してきた「CINEMORE ACADEMY」がオンラインイベント化。実際にメジャー映画を撮りながらも自身の作家性を貫いて来た映画監督たちをゲストに迎え、その創作の秘密に迫ります!


6/30(水)に実施されたオンラインイベントを記事化しました。全3回に渡りお届けします。今回は第2回目。

※Vol.1はこちらから



全国で一斉に公開される規模のメジャー映画ともなれば、製作予算が大きくなる一方で、資金回収もよりシビアになり、プロデューサーや出資者などから様々な意見が入ってくるのが常。そんな状況で監督たちは、いかに自身のビジョンを具現化し、ヒットにつながる面白い映画を作るのか?


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【ゲスト】内田英治 / 藤井道人 / 本広克行 / 行定勲 50音順/敬称略


【MC】映画ライターSYO / CINEMORE編集長 香田史生 敬称略

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イベント詳細はこちらから


Index


コックのような映画監督



香田:次のテーマは「メジャー映画で作家性を貫くのは難しいのか?」です。先ほどメジャー映画では冒険しにくいというお話がありましたが、どこまで自分たちのやりたいこと、作家性を貫くことが出来ているのかお伺い出来ればと思います。


本広:僕は皆さんと違って、テレビのバラエティ出身なんです。ドラマとかは別にやりたくなくて、バラエティで一儲けしたいと思っていました。でもある時、映画の技法を紹介するという番組をやりまして、それがフジテレビの深夜に大流行したんです(※91年の深夜番組「アメリカの夜」)。その後、僕が映画学校出身ということが当時の部長にバレてしまい「お前ドラマやれ」と、そう言われたのがきっかけなんです。


そういったスタートなので、自分で脚本を書こうなんて全く思わないし、自分が発信したいというものも一切ない。与えられた食材をめちゃくちゃ美味しくする、コックさんみたいな監督を目指そうと思っているんです。だから食材の形が変わるとちょっとイラッとするんですけどね(笑)。行定さんならきっと「これはやらないから」って突っぱねるかもしれませんが、僕は「これも入れなきゃいけないのかー」って、受け入れて作り上げていく。


だから僕は、子どもたちに悪影響が及ばない映画だったら何でもやろうと思っています。恋愛ものでもアクションでもなんでも来いという感じですね。それが、ドラマ、コマーシャル、舞台とどんどん広がっている。演出というのはそこまで広がっていくものなんだと、割り切るとそんなに苦しまなくなりましたね。


学生時代は自分で脚本を書いていたのですが、周りの仲間達が書く脚本のほうがすごく面白い。自分は才能ないなと思いましたね。これは僕には向いていないと思って、演出とか編集とか音楽に詳しくなろうとしていったので、作家性というものとは、自分はちょっと馴染みがないかもしれないですね。


香田:とはいえ、現場でどうしても撮りたい画があるときなどは、作家性を発揮すると言いますか、強く主張する必要がある場合も出てきそうですが。


本広:それも悩まないでやる方法をこの10年程で覚えました。助監督にやらせるんですよ。助監督はみんな撮りたくてしょうがないから、「どう、このシーン撮ってみる?」と機会をあげるんです。そしたら皆めちゃくちゃ考えるので、僕が考えているものより面白いものが出てくる。これはバラエティの総合監督のやり方と同じなんです。皆が作って僕が果実を摘んでいく。ただし、予算などの制限は設けます。それでも、どうしてもやりたいというものがあれば、それがどうすれば実現できるか、皆で方法を考えるようにしています。だからうちの演出部は皆、めちゃくちゃ育って大活躍しています。


このやり方をするようになって悩まなくなりました。任せることはとても大事なことだと思いますし、これは多分、自分に作家性がないからやれているんだと思います。だからこそ、作家性が強い作品を観るとすごく楽しいです。




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