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『由宇子の天秤』春本雄二郎監督 シリアスな社会性と娯楽性を高度に一致させた今年度最重要作は、いかにして生み出されたのか【Director’s Interview Vol.141】

『由宇子の天秤』春本雄二郎監督 シリアスな社会性と娯楽性を高度に一致させた今年度最重要作は、いかにして生み出されたのか【Director’s Interview Vol.141】

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予算がない中での美術や音響効果へのこだわり



Q:印象的だったのは、物語の重要なカギとなる高校生、小畑萌の家です。貧困家庭で、家の中が荒れている設定ですが、リアリティを感じました。ああいう乱雑に物が置かれた家は飾り込みにセンスが要りますよね。


春本:そうなんです。だから今回、美術だけはとにかくお金をケチらないでおこうと思って、美術部さんに200万円くらい渡して、やってもらいました。


Q:こだわった感じがすごく出ていましたね。


春本:装飾の担当は中島明日香さんです。『おじいちゃん、死んじゃったって。』(17)という映画の飾りがすごく良くてお願いしました。美術の相馬直樹さんは行定勲監督の作品でおなじみの方です。このお二人に任せたら間違いないっていう感じでした。



『由宇子の天秤』© 2020 映画工房春組 合同会社


Q:劇中では音楽を使われていませんが、これは最初から決めていたんですか?


春本:そうです。一作目も本当は音楽を使いたくなかったのですが、2箇所だけ使っちゃったんですよね。今回は現場の空気、喧噪、生活音が音楽みたいになるようにしようと思って、ちゃんと音響効果さんに入ってもらいました。自主映画ってお金がないんで、ここら辺ができないんですよ。音が薄くなると言うか厚みがないことが多い。だから今回はちゃんと音響効果さんと、フォーリー※さんを入れて、生音を足したんです。※映像にあわせて、足音や衣擦れなどの動作音を録音する技法




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