©2021 Paramount Pictures. Hasbro, G.I. Joe and all related characters are trademarks of Hasbro. © 2021 Hasbro. All Rights Reserved.
『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』製作 ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ ハリウッド大作異例の日本ロケを、どう成功させたか。【Director’s Interview Vol.153】
滲みついていた『ブラック・レイン』の苦い記憶
Q:撮影はまず、カナダのバンクーバーで始まり、そこから日本へ移動してきたわけですが、スタッフは同じなのですか?
ボナベンチュラ:バンクーバーの撮影にも、すでに日本人スタッフが参加していましたが、全体の25%程度でした。残りは、アメリカ人や現地のスタッフです。日本の撮影では、その比率が逆になって、75%が日本人になりました。ですから描かれるストーリーだけでなく、カメラの後ろ側でも文化の融合が起こっていることを実感できましたね。
Q:これだけ大がかりな日本ロケということで、苦労も多かったのでは?
ボナベンチュラ:今回は日本の内閣府の事業(外国映画のロケーション誘致)の一環として、全面的にバックアップしてもらったので、これまでの作品とは大きく違うと思います。「世界にしっかりと日本を見せてほしい」という日本側の意図を強く感じました。国や自治体の助けが大きければ、撮影や制作の自由度も広がります。
『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』©2021 Paramount Pictures. Hasbro, G.I. Joe and all related characters are trademarks of Hasbro. © 2021 Hasbro. All Rights Reserved.
Q:スタジオ側(パラマウント)も日本での撮影に前向きだったわけですね。
ボナベンチュラ:いや、パラマウントはかつて『ブラック・レイン』(89)で、日本ロケの苦い経験があります。その記憶がスタジオ全体に滲みついており、制作陣や経営陣からは、日本での撮影に否定的な意見も聞かれました。そこで私は「この作品はどうしても日本で撮る必要がある」と主張し、「では1、2週間なら了承しよう」「いやいや、そんな短期間では済まない」という押し問答の末に、彼らを何とか説得したのです。ですから日本に来てからは、毎日上がってくる撮影のラッシュをパラマウント本社に送っていました。その仕上がりを観た彼らは、私があれだけ主張した気持ちを完全に理解してくれたようです。私はプロデユーサーとして、反対されればされるほど燃えるタイプ(笑)。その意味で、今回は最高のチャレンジになりました。
Q:アメリカ人と日本人の混成スタッフということで、撮影現場の進行やコミュニケーションは問題なかったのですか?
ボナベンチュラ:映画の制作だけでなく、すべてにおいて日本とアメリカのやり方には大きな違いがあり、たしかに今回、そこが困難な部分でした。過去にハリウッド大作が日本での撮影を躊躇してきたのも、それが原因ではないでしょうか。しかし本作の場合、先ほども話したようにバンクーバーの撮影に日本人スタッフが参加していたことで、日本に移っても彼らがことあるごとに周囲の関係者に対し、「ご迷惑はおかけしません」などとフォローやサポートをしてくれました。ですから日本での撮影は、私の想像以上にスムーズに運んだのです。