『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』製作 ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ　ハリウッド大作異例の日本ロケを、どう成功させたか。【Director’s Interview Vol.153】

スタントマンの「数」にこだわる谷垣健治

Q：その日本人スタッフの中心にいるのが、アクション監督の谷垣健治さんですね。起用の理由を教えてください。

ボナベンチュラ：本作は、大きな括りでは「ハリウッド大作」ですが、せっかく日本で撮影できるならということで、従来のハリウッド作品とは違うタイプの、今まで誰も観たことのない日本的なアクションを導入したいと考えたのです。ケンジが、日本だけでなく、香港映画などマーシャルアーツの世界で活躍していることを、私もよく知っていました。いつか一緒に仕事をしたかったのも事実です。実際に撮影現場では、日本の映画やドラマでしか観たことのない、あっと驚くような演出を試みてくれました。

『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』©2021 Paramount Pictures. Hasbro, G.I. Joe and all related characters are trademarks of Hasbro. © 2021 Hasbro. All Rights Reserved.

Q：アクションシーンについて、谷垣さんからプロデューサーに、どんな要望がありましたか？

ボナベンチュラ：私が「このシーンにはスタントマンが10人くらいかな」と提案すると、ケンジは「いや、25人は必要」と言ってきます。その言葉に従うと、一人の侍に、25人くらいの敵が襲いかかってくる、日本の時代劇のようなシーンが完成し、アメリカ人スタッフを驚かせるわけです。脚本を読んで、「このシーンは追っ手が5人くらいかな」と想像しながら現場へ向かうと、25人もの黒装束の忍者がダッシュでカメラを横切っていたこともありました。思わずケンジに「こんなシーンだったっけ？」と尋ねると、「そういう設定だったでしょう？」と軽く返されたり（笑）、まぁ、そういう現場でした。

Q：では最後に、日本ロケの個人的な思い出を聞かせてください。

ボナベンチュラ：人生の中で、こんなに「お米」を食べたのは初めて。お米は好きですけど、まさかここまで毎日食べるとは思っていませんでした（笑）。

『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』を今すぐ予約する↓

製作：ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ

ディ・ボナベンチュラは『トランスフォーマー』（07）、『G.I.ジョー』（09）、『RED／レッド』（10）といった映画フランチャイズの製作者として知られている。ハーバード大学で思想史の学士号を取得し、ペンシルベニア大学ウォートン校で経営管理学の博士号を取得した。また2016年にチューリッヒ映画祭にて、ゴールデンアイ・キャリアアチーブメント賞を受賞した。彼はアメリカン・シネマテークの理事会員、クレアモント大学院大学の諮問委員、エマーソン大学の評議委員会の委員、ロサンゼルスてんかん財団の名誉委員会員である。彼はエンターテインメント業界のキャリアを映画スタジオの幹部としてスタートし、その後ワーナー・ブラザースのワールドワイド・プロダクションの社長に就任した。在職中、彼は130本以上に及ぶ映画の製作に携わった。『ハリー・ポッター』シリーズや『マトリックス』シリーズのフランチャイズをワーナーにもたらしたことに加え、商業的にも評価としても成功した作品として、『フォーリング・ダウン』（93）、『評決のとき』（96）、『アナライズ・ミー』（99）、『パーフェクト・ストーム』（00）、『オーシャンズ１１』（02）、『トレーニング デイ』（01）などがある。2002年ワーナー・ブラザースを退社し、パラマウント・ピクチャーズを本拠地としたディ・ボナベンチュラ・ピクチャーズを設立。それ以来彼は35本以上の作品を製作し、世界興収で70億ドルを上げている。その作品としてキアヌ・リーヴス主演の『コンスタンティン』（05）、『スターダスト』（07）、アントワーン・フークア監督でマーク・ウォールバーグ主演の『ザ・シューター／極大射程』（07）、ソニー・ピクチャーズ作品でアンジェリーナ・ジョリー主演の『ソルト』（10）、パラマウント・ピクチャーズのリバイバル作品でトム・クランシーの著名なフランチャイズでケネス・ブラナー監督作、クリス・パイン、キーラ・ナイトレイ、ケヴィン・コスナー出演の『エージェント：ライアン』（14）、スティーヴン・ソダーバーグ監督、ルーニー・マーラ、ジュード・ロウ、チャニング・テイタム出演作品で批評家に絶賛された『サイド・エフェクト』（13）、ピーター・バーグ監督、マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ディラン・オブライエン、ジョン・マルコヴィッチ、ジーナ・ロドリゲス、ケイト・ハドソンらが出演する『バーニング・オーシャン』（17）、ヴィンス・フリンのベストセラー政治スリラーを原作映画化し、ディラン・オブライエン、マイケル・キートン、テイラー・キッチュが出演する『アメリカン・アサシン』（18）、世界的にヒットした『MEG ザ・モンスター』（18）、トランスフォーマーのスピンオフでトラヴィス・ナイト監督、ヘイリー・スタインフェルドとジョン・シナ出演の『バンブルビー』（19）、スティーヴン・キングの著名小説を基にした『ペット・セメタリー』（20）などがある。また現在製作中の作品には、シリーズ７作目となる『トランスフォーマー／ビースト覚醒』、スティーヴン・キングの小説「ペット・セメタリー」の前日譚を描く作品がある。また、パラマウント・ピクチャーズ提供によるサミー・デイヴィスJr.の伝記的作品、ジェラルド・バトラー主演の『The Plane（原題）』が開発段階である。2011年、会社はテレビ製作へと枝分かれし、ディ・ボナベンチュラ・ピクチャーズ・テレビジョンが設立され、「The Real O’Neals」、「ザ・シューター」（16-18）、ネットフリックス作品「ジュピター・レガシー」（21）が製作された。

取材・文：斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』

2021年10月22日（金）公開

配給：東和ピクチャーズ

©2021 Paramount Pictures. Hasbro, G.I. Joe and all related characters are trademarks of Hasbro. © 2021 Hasbro. All Rights Reserved.