2019.11.06
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スパイ映画の流れを変えた革命的な一作
スパイ・アクションの歴史を語る上でこの映画は外せない。9.11テロ直後、多くの映画人たちが表現の壁にぶち当たる中、颯爽と登場した本作は、新時代にふさわしいリアリスティックな道を指し示し、このジャンルに新風を吹き込ませてくれた。まさに潮の変わり目。スパイ映画が「ボーン以前」、「ボーン以後」で語られるようになって久しいが、我々は今もなお、本作のもたらした熱狂の渦から一歩も逃れられずにいる。
しかし、本作は決してクールな戦略に基づき計算づくで仕掛けられたものではない。製作の陰にはダグ・リーマン監督を始めとする様々な人々の「賭け」ともいうべき決断の積み重ねがあった。その中のどれが欠けても今の伝説的な評価は得られなかっただろう。