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『クレッシェンド 音楽の架け橋』ドロール・ザハヴィ監督 深刻な中東の現実の中にも希望の光を感じてほしい【Director’s Interview Vol.177】
必要なのはお互いへの敬意
Q:指揮者のスポルクが、パレスチナとイスラエルの若者たちに根気強く対話を促しますが、なかなかうまくいきません。「対話」するという一見簡単なことすらできない状況は、今の世界を反映しているようにも思えました。
ザハヴィ:まさに今は世界中がそういう状況にありますよね。共通点を見出すことはせず、相違点ばかりに目が向いてしまっている。
今回、脚本を書くにあたっては、心理学や精神学、そして社会学の学者の方々に話を伺いました。個人ではなくグループが対立した場合にはどのような現象が見られるのか、そういった具体例を教えてもらい、それを映画の中に落としこんでいきました。
『クレッシェンド 音楽の架け橋』© CCC Filmkunst GmbH
映画ではその対立の仲裁者としてスポルクが機能するわけですが、彼は決して対立を解決しようとしているのではなく、ただ一緒に演奏して欲しいと願っているだけ。そのために必要なのはお互いに対する敬意です。お互いのことを認められるように、映画の中で出てきたようなコミニュケーションを始めるんです。
もしかしたらこのコミュニケーションはパレスチナとイスラエルの問題にとどまらず、グローバルな視点でも私たちが今できることを示唆しているのかもしれません。