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『クレッシェンド 音楽の架け橋』ドロール・ザハヴィ監督 深刻な中東の現実の中にも希望の光を感じてほしい【Director’s Interview Vol.177】
今も紛争が続くパレスチナとイスラエルから、若者たちを集めてオーケストラを結成、和平コンサートの実現へ向けて動きだす。実在するユダヤ・アラブ混合の管弦楽団に着想を得たという映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』。一見美しく見えそうなテーマだが、映画が炙り出すのは想像を超える問題の根深さ。
本作を手掛けたのは、『ブラック・セプテンバー ~ミュンヘンオリンピック事件の真実~』(12)など、パレスチナとイスラエルの政治的対立を扱った映画を作ってきたドロール・ザハヴィ監督。ザハヴィ監督が本作に込めたものとは? 話を伺った。
Index
中東の現実
Q:パレスチナとイスラエルの若者で編成されたオーケストラを結成し、音楽を架け橋に平和を祈る。そういった素晴らしい試みがなかなかうまくいかないことに驚きましたし、問題の根深さや複雑さを痛感します。この話の映画化には、どんな可能性を感じられたのでしょうか?
ザハヴィ:音楽の力で平和を目指すという物語は、ドラマとしては上手くいきそうですよね。でもそうはいかないのが中東の現実です。実際にパレスチナとイスラエルでは、今は和平交渉など一切行われずミーティングのテーブルにつこうともしていない。そんな状況では、将来に対して悲観的にしかなれないかもしれません。それでも僕は希望を持ちたいし、その光をみんなにも感じて欲しい。そういう思いでこの映画を作りました。