(C) 2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
『やがて海へと届く』中川龍太郎監督 大事なのはスタッフ・キャストと話せる時間を作れるかどうか【Director’s Interview Vol.198】
影響を受けた、スタジオジブリと河瀨直美
Q:これまでお話を伺って印象的だったのは、中川監督はスタッフやキャストに対して、あまり具体的で技術的な話はせずに、コンセプトや精神性のような話をする方が多いのかなということです。具体的な話をしなくても、ちゃんと自分の表現したい画になるものですか?
中川:なるほど、面白い質問ですね。もちろんコンセプトを伝えたからといって、必ずその通りに返ってくるわけではありません。自分が違うと思ったらやり直します。大事なのは、スタッフィングやキャスティングをする前に、その人と話す時間を作れるかどうかなんです。話をしてみて信頼関係を築けるかどうか、自分のやりたいことを分かってくれるかどうか、そこが重要なんだと思います。
『やがて海へと届く』(C) 2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
Q:では最後の質問です。影響を受けた映画監督や作品について教えてください。
中川:自分が小さい頃から親しんできたスタジオジブリの作品には影響を受けています。特に今回の海の捉え方などは、『もののけ姫』(97)のシシ神などにも似ていると思いますね。
また、河瀨直美監督の初期作品には学生時代に観て影響を受けました。『萌の朱雀』(97)での生と死の描かれ方や世界の切り取り方など、あのような世界観には非常に影響を受けていますね。
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監督・脚本:中川龍太郎
1990年1月29日、神奈川県生まれ。詩人として活動をはじめ、高校在学中の07年に「詩集 雪に至る都」を出版。やなせたかし主催「詩とファンタジー」年間優秀賞を最年少で受賞する。慶應義塾大学文学部に進学後、独学で映画制作を開始。監督を務めた『愛の小さな歴史』(15)で東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門にノミネート。翌年には『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(16)も同部門にてノミネートされ、2年連続の出品を最年少にして果たす。フランスの映画誌カイエ・デュ・シネマから「包み隠さず感情に飛び込む映画」と、その鋭い感性を絶賛される。『四月の永い夢』(18)は世界4大映画祭のひとつ、モスクワ国際映画祭コンペティション部門に選出され、国際映画批評家連盟賞・ロシア映画批評家連盟特別表彰を邦画史上初のダブル受賞。さらに松本穂香を主演に迎えた『わたしは光をにぎっている』(19)がモスクワ国際映画祭に特別招待。『静かな雨』(20)が、釜山国際映画祭正式招待作品として上映され、東京フィルメックスにて観客賞を受賞した。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『やがて海へと届く』大ヒット公開中!
配給:ビターズ・エンド
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