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『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』アダ・ソロモン プロデューサー 妥協してでも検閲版は必要だった【Director’s Interview Vol.201】

© 2021 MICROFILM (RO) | PTD (LU) | ENDORFILM (CZ) | K INORAMA (HR)

『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』アダ・ソロモン プロデューサー 妥協してでも検閲版は必要だった【Director’s Interview Vol.201】

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妥協してでも検閲版を作る価値



Q:第三部はまさに今の世界の縮図であり、SNSの世界の可視化でもありました。この映画に出てくるような歴史修正の発言や猥褻論などは、日本では表立って議論されることはあまりありませんが、SNS上では日本でも全く同じことが繰り広げられています。ルーマニアの状況はいかがですか?


ソロモン:残念ながらルーマニアも日本と全く同じ状況です。私たちの社会では、大声で叫んでいる人の声ばかりが聞こえてくるので、自分の意見をしっかり話したとしても小さな声では届かない。それはある種の暴力だと思います。



『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』© 2021 MICROFILM (RO) | PTD (LU) | ENDORFILM (CZ) | K INORAMA (HR)


また、ルーマニアはとても保守的で宗教色が強いにもかかわらず、検閲されていないオリジナルバージョンを上映することが出来ました。そんなこともあり、世界配給するにあたって検閲版の要望が出たときは、ちょっと戸惑いました。ただ逆に考えると、検閲版を作りさえすれば世界でこの映画を上映してもらえる。そうであれば妥協して検閲版を作ってでも、一人でも多くの人にこの映画を見てもらうべきだと考えました。


この作品は文化的な創作物である一方で、現代のステートメントでもあります。この作品で出てくるような議論を皆が表立って出来るようなきっかけになって欲しいのです。




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©Jens Koch for Berlinale 2021


プロデューサー:アダ・ソロモン

1968年、ルーマニア・ブカレスト生まれ。長年にわたって製作現場の経験を経て、1990年代以降、製作進行およびエグゼクティブ・プロデューサーとして約150本ものテレビコマーシャルの製作を手がけてきた。フランコ・ゼフィレッリ監督の『永遠のマリア・カラス』やデディ・ダンカート監督の『オフセット』やヘルミネ・フントゥゲブルト監督の『トム・ソーヤとハック・フィン』など国外作品のライン・プロデューサーを務める。2004年ハイ・フィルムを設立。ラドゥ・ジューデ監督の短編『The Tube With A Hat(英題)』(2007)、パウル・ネゴエスク監督の『改築』(2009)は短編映画として数々の映画賞を受賞。ジューデ監督長編デビュー作『世界で最も幸せな女の子』(2009)は多くの国際映画祭へ出品。その後もジューデ監督作『Everybody in Our Family(英題)』(2012)、『アーフェリム!』(2015)、『野蛮人として歴史に名を残しても構わない』(2018)、本作のプロデュースを手掛ける。その他、日本劇場公開作では『私の、息子』(2014)、『ありがとう、トニ・エルドマン』(2016)ではエグゼクティブ・プロデューサーを務める。また、クリシティアン・ネメスキュとアンドレイ・トンキュを記念して発足させたブカレストの NextT国際映画祭の創設者でありディレクターでもありプロデューサーとしての業績を評価され、第26回ヨーロッパ映画賞のEuropean Co-Production Award を受賞。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』

4月23日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

配給:JAIHO

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