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『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』アダ・ソロモン プロデューサー 妥協してでも検閲版は必要だった【Director’s Interview Vol.201】

© 2021 MICROFILM (RO) | PTD (LU) | ENDORFILM (CZ) | K INORAMA (HR)

『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』アダ・ソロモン プロデューサー 妥協してでも検閲版は必要だった【Director’s Interview Vol.201】

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『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』という長いタイトルのこの映画は、いきなり露骨なセックスシーンで幕を開ける。プライベートのセックスビデオ流出に端を発する話のため、必要なシーンではあるものの、あまりの内容に日本ではそのままの上映がNG。監督自ら処理を施した検閲版での上映となってしまった(日本以外でも検閲版で上映される国は多い)。


一見とても不謹慎な映画のように思えるが、この映画が訴えるのはまさにその部分。不謹慎とは一体何なのか?何が不謹慎なことなのか?人間が抱える本質的な問題を確実に炙り出してくる。普段であれば監督に話を聞きたいところだが、監督はこの検閲版が本意ではないとのことで取材は叶わず。代わりにプロデューサーに話を伺った。


Index


きっかけは実際に起きた事件



Q:かなり刺激的な内容の作品ですが、企画の発端はどういったものだったのでしょうか? 


ソロモン:ある女性教師のセックス動画がネットにリークされ、その教師が学校を辞めさせられる事件がありました。ラドゥ監督と友人たちがこの事件について議論した際、それまで割と意見が合うことが多かった彼らが、この問題では完全に意見が分かれてしまった。女性教師に対してどう対処することが正解なのか?彼女は本当に罰せられるべきなのか?その議論がこの企画の発端でした。


その動画は18歳未満禁止のサイトに掲載されていたのですが、生徒たちはそのサイトにアクセスして動画を見ている。ところがそれに対してはお咎め無し。また、もしこれが男性教師だった場合は、彼はマッチョで強い男性としてヒーローとなり、特に男子生徒たちに対してより強い権威を持つことが出来たかもしれない。それが今回は女性教師だったがゆえに、問題が矮小化されてしまった可能性もあります。そういったことを掘り下げていくためにも、この映画を作ろうと決めました。



『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』© 2021 MICROFILM (RO) | PTD (LU) | ENDORFILM (CZ) | K INORAMA (HR)


Q:実際に映画を観ると問題提起する内容だと分かりますが、企画の段階で内容を説明して製作費を集めるのは、大変だったのではないでしょうか?


ソロモン:本当に大変でした。出資を相談した相手の中には、やりたいことを理解してくれなかったり、出資を躊躇された方もいました。ただ幸運なことに、ルーマニアのフィルムファンドが私たちの意図を理解してくれて、最初に出資を決めてくれたんです。続いて、クロアチア、チェコ、ルクセンブルクという国も製作に参加してくれました。もちろんラドゥ監督のこれまでの実績や、彼の大胆で強い表現が作品の成功を期待させたことも大きいでしょう。結果として、私がこれまで携わった作品の中で最も早く資金を集めることが出来ました。


ただそうは言っても、この作品は「アートハウス映画」なので市場と収入はそれほど大きくはありません。それは出資者の方も最初から理解してくれていました。彼らは資金回収のプランよりも、いかに社会的にインパクトを与えられるかに賛同してくれたのです。そんな形で始まった映画でしたが、今では30カ国以上の国で配給されることになり、想定以上の収益を上げることが出来ました。




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