1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『帰らない日曜日』エヴァ・ユッソン監督 集団的トラウマが作り出した“時代の空気”とは【Director’s Interview Vol.209】
『帰らない日曜日』エヴァ・ユッソン監督 集団的トラウマが作り出した“時代の空気”とは【Director’s Interview Vol.209】

『帰らない日曜日』エヴァ・ユッソン監督 集団的トラウマが作り出した“時代の空気”とは【Director’s Interview Vol.209】

PAGES


コロナ禍で奪われたコミュニケーション



Q:コロナ禍での撮影は大変だったのではないでしょうか?


エヴァ:そうですね。コロナ禍での撮影は人生で最も大変な撮影でした。監督の仕事はコミュニケーションが非常に重要になってくるのですが、マスク姿ではそれがとても難しい。マスクをして表情が隠れてしまうので、演出する上での微妙な感情のやりとりが出来なくなってしまうんです。また、仕事をする仲間たちとハグをしたり一緒に飲んだりするコミュニケーションも出来なかった。本当に不自由な思いをしましたね。


また、フランス人の私にとっては、今回の撮影場所であるイギリスは外国です。知らない国でのロックダウンという状況は大変なストレスでした。仕事の合間の息抜きもままならず、しかも私自身がコロナに感染してしまった。とても大変な状況でしたが、それでも仕事が出来たことが救いになっていたと思います。もしこれで仕事も出来なくなっていたら、相当落ち込んでいたでしょうね。コロナ禍で仕事が出来なくなってしまった方も沢山いますから、そういう意味では恵まれていたのだと思います。



『帰らない日曜日』© CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND NUMBER 9 FILMS SUNDAY LIMITED 2021


Q:準備段階ではリモート会議が多かったとの事ですが、そこでのコミュニケーションも難しそうですね。


エヴァ:リモートで話していて思い知らされたのは、「コミュニケーションは言葉だけでは伝わらない」ということ。私は自分で動いて見せたりしてコミュニケーションを取りたいのに、それがリモートでは出来ません。また、意思疎通がうまくいってない人とは、コーヒーブレイクに連れ出して一緒に飲むことで良い関係が生まれたりもしますが、それも出来ません。そういったちょっとしたニュアンスが、リモートでは全く伝わらない。コロナ以前では可能だったコミュニケーションが、リモートの環境では奪われてしまいましたね。


 



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『帰らない日曜日』エヴァ・ユッソン監督 集団的トラウマが作り出した“時代の空気”とは【Director’s Interview Vol.209】