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『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』マーク・カズンズ監督 子供の時と同じ気持ちで映画を観ること【Director’s Interview Vol.212】

©Story of Film Ltd 2020

『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』マーク・カズンズ監督 子供の時と同じ気持ちで映画を観ること【Director’s Interview Vol.212】

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シーン単体だけで成り立つものを選ぶ



Q:本作に111本もの映画が登場しますが、脚本を作って登場させる映画を決められたのでしょうか。それとも登場させる映画先にあって、それに沿って脚本を作られたのでしょうか。


カズンズ:映画タイトルやアイデアを自分で書き留めたノートがあるのですが、これが始まりでした。この手法はデヴィッド・リンチ監督から学んだもので、優れた映画の作り手は、このようにノートにアイデアを書き留めているんです。私はこれを「映画作りのマジック」と呼んでいます。そこからアイデアを紙に書きおこして、どういった順序で展開していくのか床に並べていきます。この作業自体が私にとって脚本を書いているようなものなんです。よって、脚本と呼べるものはこのノートしかなくて、この手書きのドキュメントが私の大事な「道しるべ」でした。



『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』©Story of Film Ltd 2020


Q:映画を選び、そこからシーンを抜き出すことも大変な作業だと思いますが、それらはどのように選んでいるのでしょうか。


カズンズ:ポイントは、シーン単体だけで成り立つものを選ぶことです。観客の中にはその映画を観てない人もいますし、そういう人にもその映画のことが分かるようなシーンを選ぶことが重要です。美しくて驚きがあり、そして楽しい。そういった基準で選んでいます。


Q:既に観たことがある映画でも、こうしてシーンを抽出して見せられると改めてハッとさせられることが多かったです。


カズンズ:作品と作品をつなぐと、まるでその作品どうしが会話をしているようなハーモニーが生まれました。それは思いがけないことでしたね。


Q:映画と映画の間には、カズンズ監督が実際に撮影されたショットも入ってきます。これにはどういった意図があるのでしょうか。


カズンズ:観客が小休止して思索できるような、いわゆるインサートカットです。例えば小津監督の作品でいうと、お湯が沸いているヤカンのカットのようなものですね(笑)。




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