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『ドライブ・マイ・カー』対話の“壁”を越える、「言葉」への知的探求

(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

『ドライブ・マイ・カー』対話の“壁”を越える、「言葉」への知的探求

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『ドライブ・マイ・カー』あらすじ

舞台俳優であり演出家の家福は、愛する妻の音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが…。喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。


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世界三大映画祭全てで受賞した濱口監督



 国内外から熱視線を浴びている名匠・濱口竜介監督。2021年の第74回カンヌ国際映画祭で、脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞の4冠受賞を成し遂げたのが『ドライブ・マイ・カー』だ。(2022年2月現在、本作は第94回アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門にもノミネートされている。)


 『偶然と想像』(21年公開予定)で2021年・第71回ベルリン国際映画祭の銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞し、共同脚本で参加した黒沢清監督作『スパイの妻 劇場版』(20)では2020年・第77回ヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得。本作を合わせて、世界3大映画祭全てで受賞したことになる。


 もともと、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作だった『PASSION』(08)がサン・セバスチャン国際映画祭に出品されるなど、当初から海外評価が高い濱口監督。『ハッピーアワー』(15)や商業映画デビュー作品『寝ても覚めても』(18)と着実に実績を積み上げて、現在の地位を確立した。



『ドライブ・マイ・カー』予告


 『ドライブ・マイ・カー』では、村上春樹の短編集「女のいない男たち」を大胆に翻案し、西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生といったメジャーで活躍する実力派俳優を起用。濱口監督の初期作から見ても規模感は徐々に拡大しており、本作ではTOHOシネマズ系列含め、全国一斉ロードショーされた。アカデミックな作品作りを志向してきた逸材が、いよいよ名実ともに日本全土で知られる存在になってきたわけだ。


 そんな記念すべき作品『ドライブ・マイ・カー』は、妻を失った夫の心の彷徨を描いた人間ドラマ。妻の音(霧島れいか)を病気で失った舞台俳優/演出家の家福(西島秀俊)。彼は、広島に滞在して演劇祭で上演する新作舞台を制作することになる。現地に赴いた家福は、ある過去を持つドライバー・みさき(三浦透子)と出会う。そして、音をよく知る若手俳優・高槻(岡田将生)が、舞台のオーディションに参加。それぞれの運命が、緩やかに交錯し始める――。


 これまでの作品がそうだったように、本作は静謐かつ真摯で、知性あふれる物語。まるで濱口監督自身を体現したような、深い余韻に浸される傑作だ(つまりそれは、これまでブレることなく、一貫した作品作りを行ってきたということでもある)。同時に、どれだけ言葉を尽くしても本質にたどり着けないような“こわさ”もある。本稿では、その魅力の一端を紹介していきたい。




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