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ギレルモ・デル・トロとアズカバンの囚人【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE  Vol.1】

ギレルモ・デル・トロとアズカバンの囚人【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.1】


シリーズにおける『アズカバンの囚人』のポジション




 キュアロンによるダークな『アズカバンの囚人』は最初の2作よりも原作のイメージに近いと言われているが、3作目の魅力は前2作のゆったりとした雰囲気があってこそだし、シリーズの展開を思えばそれぞれの作風はそのときの物語に合っていると、ぼくは思う。


 コロンバスが監督した最初の2作は確かに後の作品に比べるとだいぶ明るいけど、その雰囲気は初めて魔法の世界に飛び込んだばかりのハリーの冒険にぴったりだ。1作目と2作目では世界観の説明がなされ、ハリーは自分が何者なのかを少しずつ知っていく。そして、ちょっとだけ大人びて、いよいよ両親の死の真相と対峙する3作目から、だんだん雰囲気は暗くなってくる。そんなタイミングに、キュアロンの作風はうまくマッチしたのだ。


 これら前半の3作を通して、ハリーは自分の宿敵についても知るが、両親を殺した闇の魔法使いヴォルデモートは、まだ直接登場しない。彼が実体を持って登場するのは4作目『炎のゴブレット』からで、そこからが本格的な戦いの物語となる。


 4作目以降、ハリーがヴォルデモートと直接対決していくことになると、物語はどんどん暗く深刻になっていく。デル・トロが最初の2作から感じた明るいトーンというのは、結局のところ3作目を境にすっかり薄れてしまう。


 このようにシリーズは3作目までとそれ以降とで大きく分けることができ、『アズカバンの囚人』は序章と本当の戦いとを繋ぐ役割を果たしていると言える。


 ちなみにジョン・ウィリアムズが作曲を手がけたのも3作目まで。また2作目を最後に逝去したリチャード・ハリスに代わり、マイケル・ガンボンが魔法学校の校長ダンブルドア役についたのも3作目からであるなど、部分的にもそれまでの作品、それ以降の作品との転換点となっている。


 静山社の日本語版原作小説に関して言えば、3巻までは一冊におさまっているが、4巻からは上下巻に分かれており、装丁の色が3巻までは暗めであるのに対し、4巻からは明るい色となっているなど、やはり『アズカバンの囚人』がひとつの節目となっているような印象を受ける。



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