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『こちらあみ子』森井勇佑監督 芝居をせずに「ただ、話す」【Director’s Interview Vol.222】

『こちらあみ子』森井勇佑監督 芝居をせずに「ただ、話す」【Director’s Interview Vol.222】

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撮影監督:岩永洋



Q:岩永洋さんの撮る画が圧倒的に素晴らしかったです。少し左右が狭い画面サイズでしたが、ヨーロピアンビスタですか?


森井:そうなんです。ヨーロピアンビスタです。ぜひ映画館で観て欲しいです。


Q:映画の所々に出てくる、道の真ん中にカメラを据えて撮られた画がとても印象的です。奥行きの豊かさを強く感じました。あれは全て同じレンズの同じミリ数でしょうか。

 

森井:よくお気づきで(笑)。今回はズームレンズで撮影していて、大体35mm〜50mmの間を使っていたと思います。レンズのミリ数を微妙に変えているところはありますが、単レンズで撮ったように見せようとしていました。


Q:コンテみたいなものは描かれたのでしょうか。


森井:自分の中では描いていました。ルックがズレないように、それをパラパラめくっては大丈夫かどうか確認してました。それはあくまで自分用だったので、岩永くんには見せていません。


Q:せっかくコンテを描いたのに、カメラマンに見せなかったのですね。


森井:まあ下手だったからですかね(笑)。.


Q:では全て口頭でお伝えしたと。


森井:口頭ですね。あとは映画のイメージを伝えつつ、清水宏監督の『風の中の子供』(37)、相米慎二監督の『お引越し』(93)、ローベル・ブレッソン監督の『少女ムシェット』(67)の3本を観ておいて欲しいと、DVDを岩永くんに渡しました。でも岩永くんは「ブレッソンの映画だけはちょっと観れないな」と言って観てくれなかった(笑)。


Q:確かに本作を観ているときに、『お引っ越し』の田畑智子さんを思い出したときがありました。


森井:この映画を観た方から、『お引越し』のことは本当によく言われますね。



『こちらあみ子』©2022『こちらあみ子』フィルムパートナーズ


Q:岩永さんが撮った画が、よく一緒にやっている今泉力哉監督作品の画と全然違っていて、とても興味深かったです。


森井:全然違いますよね。今回は割と画面の真ん中に顔があるように撮ってもらいました。目高で撮ってもらったので多分そうなっているのですが、他の映画での岩永くんはその撮り方はあまりやってないかもしれません。


Q:冒頭に出てくる学校のシーンで、終業後一斉に子供たちが出てくるロングショットも印象的です。あれはどのようにして撮られたのでしょうか。


森井:学校の廊下って普通は室内にあるのですが、広島の学校特有の構造で廊下が外にあるんです。子どもたちも結構集まってくれました。オーディションに来ていた子たちにも声をかけて、あのカットの子どもたちは120人くらいいるんじゃないかな。


Q:子供たちの気持ちを優先して、撮影効率は優先しなかったとのことですが、それは言い換えると時間をゆったり使った贅沢な撮影だったとも言えます。現実的に撮影を滞りなく終わらせることは大変ではなかったでしょうか。

 

森井:いつも夕方ぐらいに撮影は終わっていました。全部で21日間の撮影だったので、そんなに余裕がある方ではなかったのですが、僕と岩永くんの中では撮るものが決まっていて、それが撮れれば終わり。というようにしていました。それで多分早かったのかなと。その画が撮れれば、その中では子どもたちがどうなっていても大丈夫。だから大変ではなかったです。あみ子が自由すぎるところは大変だったかもしれないけど、みんな遊んでたからな(笑)。大変じゃなかったかも。




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