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『アイ・アム まきもと』阿部サダヲ x 満島ひかり まきもとは少しずつ目覚めていってる【Actor’s Interview Vol.24】

『アイ・アム まきもと』阿部サダヲ x 満島ひかり まきもとは少しずつ目覚めていってる【Actor’s Interview Vol.24】

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まきもとは目覚めていってる



Q:この映画を観たあとは、疎遠になっている人に会いたくなったり、他者との関係性を見直したり、孤独死の問題について考えさせられたりします。そういったことを感じさせてくれるのも映画の魅力ですが、その辺りはどう思われましたか?


阿部:孤独死って、結構身近な問題になっていますよね。僕らが実際に撮影していた集合住宅でも、つい何日か前に孤独死された方がいると聞くこともありました。そういった問題を目の当たりにしたので、ちょっとびっくりしました。部屋もどんどん空いていくので寂しかったですね。もう身近な問題なんだなと強く感じました。


満島:まきもとが赤ちゃんを抱っこしたときに、その赤ちゃんのよだれと匂いがスーツにつくのですが、「死」をベースにしている映画だからこそ、命を抱いたその匂いがピュアに浮き立ってくるんです。まきもとは亡くなった人のかつての姿を探しているけど、まきもと自体の高揚は未来に対してある。そこがとても興味深かったです。


阿部:塔子さんのところに行ってお茶を入れてもらって、紅茶に目覚めていくかんじとか、まさに目覚めていってますよね。


満島:そう、少しずつ目覚めていますよね。海を眺めているみはるさん(宮沢りえ)を見て近づけなくなったりとかも。「あ、まきもと、空気読んで近づけなくなってる!」って思いました。



『アイ・アム まきもと』©2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会


Q:お二人ともこれまで数々の映画に出演されてきましたが、多くの人たちと一緒にものを作る映画作りの魅力をどのように感じていますか? 若い人たちに向けて現場の楽しさなどがあればぜひ教えてください。


阿部:最近は現場も楽しい自由な方々が増えて来てますよね。水田さんみたいな監督と楽しい映画を作っている現場はやはり楽しいので、ぜひ入って来て欲しいです。また、今回は主に山形の庄内で撮影させてもらいましたが、ロケ場所がすごく良いんですよね。制作部の方も場所を見つけるのがすごく上手いんだなと感心しました。塔子さんと二人で並木道を歩くシーンがあるのですが、なんてことなさそうな道なんですが、とても雰囲気があるんです。道一本隔てただけでこんなにいい場所があるんだと。車で走っているだけではなかなか探せないはずなんです。撮影現場って面白いなって改めて思いました。


あとはロケの時は地元の方との交流も楽しいですよ。いい人がいっぱいいました。


満島:出来上がった作品を観ると「あー映画っていいな」って思います。テレビやYouTube、配信などとはやっぱり違って、見えているものよりも見えないものが映ってることが多い感じがして。不思議なものがいっぱい映っていて、映画の空気がみるみる画面の中でうごめく感覚がある。便利だったり合理的なものも増えているからこそ、映画の世界にギュッと凝縮されたカタチにならないものには、愛おしさを感じます。


『アイ・アム まきもと』の制作部に、広島から来た19歳くらいの女の子がいて、彼女は自分の地元で映画の撮影を手伝ったのがとても楽しかったらしく、「またやりたいです」って今回の山形ロケに来てくれたそうです。嬉しいですよね。なかなか稀なケースかもしれませんが、現場のお手伝いに行けるような機会があれば行ってみると楽しいかもしれません。私も、子供の頃に映画の現場を体験して、「なんだ?! 大人になっても遊んでいる仕事ってあるの?!」と思っちゃって、映画から離れられなくなっている一人です(笑)。



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阿部サダヲ

1970年4月23日生まれ、千葉県出身。92年より松尾スズキが主宰する「大人計画」に参加し、同年、舞台「冬の皮」で俳優デビュー。07年、第45回ゴールデンアロー賞演劇賞を受賞。長編映画初主演の『舞妓Haaaan!!!』(07)で第31回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)で第60回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞。19年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では主人公・田畑政治を演じた。その他の映画主演作に、『殿、利息でござる!』(16)、『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(18)、『死刑にいたる病』(22)、TVドラマ主演作に、「マルモのおきて」(11)、「下剋上受験」(17)、「スイッチ」(20)などがある。また、「髑髏城の七人 Season鳥」(17)、「ニンゲン御破算」(18)、「THE BEE」(21)、「ドライブイン カリフォルニア」(22)など多くの舞台に出演。11月23日より舞台「ツダマンの世界」に主演する。




 

満島ひかり

1985年11月30日生まれ、沖縄県育ち。97年に音楽グループ「Folder」でデビュー。『モスラ2 海底の大決戦』(97)で映画初出演。近年の映画作に『駆込み女と駆出し男』(15)、『愚行録』『海辺の生と死』(17)、『TANG』『川っぺりムコリッタ』(22)など。『サンダーバード55 / Go Go』(22)などでは吹替声優も担当している。水田伸生監督が手掛けたTVドラマ「252生存者あり episode.ZERO」(08)、「さよならぼくたちのようちえん」(11)、「Woman」(13・主演)、「初恋の悪魔」(22)に出演。観る人の心を動かす唯一無二の感性で、これまでに数々の賞を受賞している。最近では、ゲストヴォーカルで参加した楽曲「IN THIS WORLD」(mondo grosso)、イタリアのファッションブランド"GUCCI"のイメージ映像「KAGUYA By Gucci」でも話題に。待機作に、Netflix主演ドラマ「First Love 初恋」(11月24日配信)。俳優のほかに、音楽活動やナレーション、声の出演、たまに執筆もする。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成


<阿部さん>

ヘアメイク:中山知美

スタイリスト:チヨ


<満島さん>

ヘアメイク:石川奈緒記

スタイリスト:安野ともこ


ワンピース/参考商品/安野商店

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<問い合わせ先>

・安野商店(070-1260-1804)

・CASUCA表参道本店 (03-5778-9168)

・CASUCA PLATA丸の内店 (03-6206-3366)




『アイ・アム まきもと』

公開中

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

©2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会 

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