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『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】

『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】

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迷子のロボットと旅していく中で、人生に迷った自分自身を見つけていくーー。これまでハリウッド映画でしか観ることのできなかったような感動ファンタジーが日本映画に誕生した。しかも出演は二宮和也に満島ひかりなど、日本映画界屈指の演技派が揃っている。監督を手がけるのは『ソラニン』(10)、『陽だまりの彼女』(13)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)の三木孝浩。


ファンタジーというジャンルにとらわれることなく、二宮と満島の演技は圧倒的に素晴らしく、映画にリアリティを与えている。エンターテインメントに人間ドラマをしっかりと織り込み、しかもCGをも駆使した『TANG タング』を三木監督はどのように作り上げたのか?監督に話を伺った。


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成功を確信した二宮さんの言葉



Q:日本映画でファンタジーが観られるのは嬉しくもありとても興味深かったです。この作品を手がけることになった経緯を教えてください。 


三木:ワーナーの田口プロデューサーから、原作の「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を映画化したいとお話をいただきました。海外の小説で舞台も海外だったので、「これを日本でやるんですか?」と最初は驚きましたね。そもそもこれを日本でやろうとするプロデューサーがいること自体がすごいなと。とてもチャレンジングだし、僕に声をかけてくれたこともすごく嬉しかった。「今までの日本映画になかったものを作りましょう!」と、気持ちが高まりました。


Q:こういったジャンルはもともとお好きだったのでしょうか。


三木:もう大好きですね!ハリウッド大作はいつも観に行っています。今回日本でもこの作品で勝負できるなと思ったのは、原作がハードSFのようなゴリゴリのVFXを必要とする内容ではなく、人ならざるものと旅する中で、主人公が自分を見つめ直すというパーソナルな物語に収斂してゆくところ。そこが面白いなと思って「これなら日本でもできるんじゃないか」と。ある種の寓話というか、大人の童話のようなところも興味を惹かれましたね。



『TANG タング』©2015DI ©2022映画「TANG」製作委員会


Q:そのパーソナルな部分を担っていくのが二宮和也さんです。キャスティングはどのように決められたのでしょうか。


三木:二宮さんは第一候補で、是非お願いしたいと思っていました。ただ当時は嵐の活動休止前の多忙な時期だったので、オファーに対するお返事はすぐには出ず、その間ずっとお待ちしていました。活動休止後しばらく経ってから快く引き受けていただけました。


Q:二宮さんの演技が素晴らしく、少し先の未来を舞台にしたファンタジーを説得力あるものに引き上げていました。現場ではどのようなことを話されたのでしょうか?


三木:僕がすごく印象的だったのは、撮影前のミーティングで二宮さんが話されたことです。僕が「相手が3DCGになるので、相手がいないところでお芝居するのは難しいですよね」と言うと、二宮さんは、「相手がいないことで自分の芝居がある種タングの映し鏡になるので、自分の芝居を見つめ直すきっかけになるかもしれない。それはチャレンジングで面白いかも」というようなことを言われたんです。その難しい点を面白がってくれるのであれば、この映画は成功だなと、そのとき確信できました。




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