1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】
『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】

『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】

PAGES


『クレイマー、クレイマー』と『レインマン』



Q:ファンタジーということで、リアルとフィクションの温度感の調整は大変だったのではないでしょうか。その辺は二宮さんとどのように話されましたか。


三木:最初は観る人が少し心のネジを緩めて大らかな気持ちで入ってきてほしいなと、それでスッと気持ち良く入れところで、最後は自分自身を見つめ直すような深いところに刺さればいいよね。と、そんな話をしました。


Q:ファンタジーというジャンルでしたが、三木監督がこれまで作って来られた人間ドラマや恋愛ものなどと、基本的な作り方や演出方法は変わっていない感じですか。


三木:そうですね。でもやっぱり今回意識したのは、自分が観て育った80〜90年代あたりのハリウッド映画です。軽やかに楽しめるけどちゃんとストーリーには刺さるものがある、『クレイマー、クレイマー』(79)や『レインマン』(88)のような映画。入り口としては『グーニーズ』(85)ぽくみえるんですが、実は自分的なオマージュとしては『クレイマー、クレイマー』や『レインマン』なんです。



『TANG タング』©2015DI ©2022映画「TANG」製作委員会


Q:街並みの感じは『シザーハンズ』(90)で、タングと出会う庭の感じは『E.T.』(82)だったりと、オマージュを感じるたびに「これは!」と喜んでいました(笑)。


三木:自分のハリウッドオマージュがかなり入ってますね(笑)。ただ世界観としては、少し先の未来の話ですが、実はちょっとノスタルジーというかアンティークな感じ、見たことないけど懐かしい感じを意識しています。


Q:監督が手掛けられた『夏への扉 ーキミのいる未来へー』(21)もSFですが、基本的にはある程度リアルな世界観でした。ノスタルジーな感覚を少し先の未来の世界観に入れていくのは塩梅が難しそうですね。


三木:さすがに最初はどう作り込んでいこうか悩みましたが、割とアニメを作る感覚に近かったんじゃないかと思います。今まではロケーションの空気感とキャストのお芝居をみて、現場での瞬発力で撮るということをやってきましたが、今回は最初から全カット絵コンテを作って、それでキャストやスタッフに世界観を共有してから撮影に臨みました。1カット1カット、アニメを作っていくような感覚で撮影していましたね。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】