1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】
『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】

『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】

PAGES


作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる



Q:冒頭にも話しましたが、こういったファンタジーのジャンルは日本ではあまり多くはなく、三木監督のような人間ドラマを作ってきた監督が参入してくるのもとても興味深いですが、実際に手掛けてみていかがでしたか?

 

三木:子供の頃に観てきたハリウッド作品をオマージュできる機会がこれまであまりなかったので、今回はそれがすごく楽しかったです。旅することで色んな出会いがあり、嫌な奴がだんだん心変わりしてゆくような感じは、先ほど言った『レインマン』もまさにそうですよね。今回の映画とはちょっと違いますが『恋はデジャ・ブ』(93)なども大好きなんです。


こういう作品は特にそうなんですが、作り手側が楽しんでいる感じはきっと観ている人にも伝わっていて、こっちが楽しんでないと観ている人も楽しめないと思うんです。自分が面白がれる要素がどれだけあるかは、すごく意識したかもしれません。



『TANG タング』©2015DI ©2022映画「TANG」製作委員会


Q:この夏は『TANG タング』をはじめ『今夜、世界からこの恋が消えても』、『アキラとあきら』など立て続けに監督作が3本公開されます。オファーも絶えないかと思いますが、手掛けられる作品はどのように決められているのでしょうか?


三木:そうなんです。約2週間おきに自作が公開されるという前代未聞なことになりました(笑)。自分がこれを撮りたいというものは特に無くて、プロデューサーの方々が僕にお願いしたいと思ってくれることが嬉しいですね。どんなジャンルであれご期待に沿えるように頑張りたい。なるべく打席には立つということをモットーにやっています(笑)。


Q:新しいジャンルに三木さんのような監督が入ることによって、こういう化学反応が出るのは、新たな発見でした。


三木:アカデミー作品賞を獲った監督がマーベルのスーパーヒーロー物をやって、それでちゃんとクオリティの高いものが出来ている。「え!この監督でやるの?」みたいな驚きがありましたよね。そういったジャンルを超えても全然可能なんだということに、勇気付けられた部分はあります。変に自分のジャンルにこだわらなくてもいいんだと。


Q:これは日本映画の製作環境のせいかもしれませんが、三木監督のようにエンターテインメントに振り切っている監督はそんなに多くはいないかもしれません。


三木:いわゆるプログラムピクチャーの職業監督は昔はむしろたくさんいたはずなんですが、最近はどちらかというと作家性を重視する監督さんの方が多いかもしれませんね。逆に職業監督が少ないので僕はやりやすいんですけど(笑)。


Q:作家性の強い監督の作品ももちろん面白いのですが、こうやって夏休みに家族で観に行くような映画があると、子供たちに映画の楽しさを教えやすくなります。


三木:そこですよね。なるべく多くの皆さんが楽しめる映画作りというのが、自分にとって一番のテーマになっているので、ジャンルや内容というよりも、どうやったら多くのお客さんを楽しませられるかを大事にしていきたいですね。


Q:影響を受けた作品や監督を教えてください。


三木:一番影響を受けたのはやっぱり大林宣彦監督ですね。僕もリアルなラブストーリーを撮っていますが、ファンタジーっぽい味付けみたいなものは、多分大林監督の作品からすごく影響を受けていると思います。それに加えて、同時期に観ていた80〜90年代のハリウッド映画は自分の血肉になっている感じはしますね。




『TANG タング』を今すぐ予約する↓







監督:三木孝浩

1974年8月29日生まれ、徳島県出身。『ソラニン』(10)で長編監督デビュー。『アオハライド』(14)、『くちびるに歌を』(15)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)、『先生! 、、、好きになってもいいですか?』(17)、『坂道のアポロン』(18)、『フォルトゥナの瞳』(19)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(20) 、『きみの瞳が問いかけている』(20) 、『夏への扉 -キミのいる未来へ-』(21)他。2022年は『今夜、世界からこの恋が消えても』が7月29日〜公開中、『アキラとあきら』が8月26日公開予定。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『TANG タング』

8月11日(木・祝)全国ロードショー

配給:ワーナー・ブラザース映画

©2015DI ©2022映画「TANG」製作委員会

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『TANG タング』三木孝浩監督 作り手が楽しんでいる感じは観客にも伝わる【Director’s Interview Vol.230】