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『サイレント・ナイト』カミラ・グリフィン監督 大人って結構間違っている【Director’s Interview Vol.262】

© 2020 SN Movie Holdings Ltd

『サイレント・ナイト』カミラ・グリフィン監督 大人って結構間違っている【Director’s Interview Vol.262】

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謎の猛毒ガスが世界を席巻し、人類は安楽死を選択したクリスマスの夜。まさに終末が描かれた悲壮な世界だが、一見するといつもの幸せなクリスマスにしか見えない。平静を装う大人たちに対して、子供たちは率直に疑問をぶつけ合う…。この映画のすごいところは、パンデミックや戦争など、まさに今の私たちが置かれている状況を予見するかのごとく、現実を先取りして描いてしまったところ。企画自体はコロナ禍前から始まったというから驚きだ。


監督のカミラ・グリフィンは本作に出演する子供たちの実の母親でもある。子供の一人は『ジョジョ・ラビット』(19)に出演したローマン・グリフィン・デイヴィス。母親ならではの視点も織り込んで本作を作りあげたグリフィン監督。オンライン取材では感情豊かに、そして真摯に質問に答えてくれた。



『サイレント・ナイト』あらすじ

田舎の屋敷でクリスマスのディナー・パーティーを催そうとしているイギリス人夫婦のネル(キーラ・ナイトレイ)とサイモン(マシュー・グード)、彼らの息子たちであるアート(ローマン・グリフィン・デイヴィス)、双子のハーディ&トーマスの5人家族のもとに、学生時代の親友たちとその伴侶が次々と集まってくる。子供を含む全12人の男女は久々の再会を楽しんでいたが、今年はいつものクリスマスとは違っていた。あらゆる生物を死に至らしめる謎の猛毒ガスが地球全土を席巻し、明日にもイギリスに到達するのだ。大人たちはパーティーを満喫した後、政府が配布した【EXITピル】という自殺用の薬を飲み、共に“尊厳ある死”を迎えるという協定を結んでいる。しかし、心中穏やかでない12人が過ごす狂騒の一夜は、度重なる想定外のトラブルが勃発。ついには協定破りを宣言する者が現れるが、このときすでに毒ガスの脅威は間近に迫っていた……。


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路線変更を好まないイギリス映画界



Q:映画の内容があまりに今の世界情勢と似ていて驚きました。


グリフィン:世の中には以前からたくさん問題がありましたが、パンデミックによって、それら社会的・政治的・感情的なあらゆる問題が拡大されることとなった。それゆえに映画の内容が今の世界と似すぎてしまったのかもしれません。意図して似せたわけではありませんが、似すぎてしまったが故に映画が非常に強い力を持ってしまった。観る人によっては辛いところもあるかもしれません。


問題提起する映画を作ったときは「絶対観てください!」というスタンスが必要なのですが、この作品を観て辛くなる人がいるかもしれないと思うと、今は少し罪悪感を感じています。



『サイレント・ナイト』© 2020 SN Movie Holdings Ltd


Q:実際のお子さん三人が俳優として登場していますが、彼らの出演の経緯について教えてください。 

 

グリフィン:息子のローマンが出演した『ジョジョ・ラビット』で、タイカ・ワイティティがコメディを使って戦争を描いたのを見て「なるほど、そうか!」と思いました。タイカがインスピレーションをくれたので、映画作りに希望が持てたんです。


それまでも映画を作りたいと思っていたのですが、イギリスの映画業界は私に資金援助をしてくれなかった。私が書いている内容が野心的すぎるらしい。イギリスの映画業界は野心的な映画を好まない、つまり路線を変更したがらないんです。労働者階級の話や田舎の農民の話など、いつも同じものばかり作っている。どうせイギリスの映画業界はお金を出してくれないから、今度は少ない予算で出来る映画を作ろうと思い、子どもたちにも出てもらい、ロケーションも一箇所で出来るものにして今回の映画を作ったんです。





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