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WELCOME TO “THE MENU” NIGHT 映画『ザ・メニュー』試写会&トークショー イベントレポート

WELCOME TO “THE MENU” NIGHT 映画『ザ・メニュー』試写会&トークショー イベントレポート

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作品に登場するメニューの作り方



奥浜:個人的には『南極料理人』での伊勢海老のエビフライが印象に残っています。


飯島:あれは何テイクも撮れないので、予算的に1人3尾まででお願いしていました。生きている伊勢海老を捌いて、中心は半生になるように美味しく作りました。なんだかマンガみたいな料理だったのでインパクトのあるシーンになりましたね。エビの味噌もタルタルに入れたりしてコクのあるソースになりましたよ。原作を見ながら、どんな食材がどんな状況で南極に届いているのか資料を見て、逆算して料理を作っていました。


奥浜:そういったフォトジェニックな料理もありますが、『深夜食堂』のようなシンプルな料理もあると思います。シンプルな料理の場合はどうやって美味しそうに見せるのですか。


飯島:作りたてを大事にしています。おいしそうな湯気が出るように、出来たてであることが伝わるようにする。撮影では料理って急かされることが多いんです。照明やカメラのセッティングを待つのは普通ですが、料理を待つのは違うでしょという空気がありますね(苦笑)。まさにタイミングとの戦いです。『深夜食堂』は料理も簡単なものが多いですし、もう10年以上やってるチームなので、色々分かりあえています。撮影のセッティングが出来てから作ればいいよといってくれるんです。もちろんなるべく待たせないように努力はしています。


奥浜:すき焼きなど、みんなで鍋を囲むシーンも多いですよね。


飯島:『すばらしき世界』では、役所広司さんの食べるシーンがありました。近くのカウンターに隠れてカットごとにお肉を渡したのですが、演技があまりにも素晴らしいので、隠れて肉の入ったタッパを持ちながらじわっと涙が出てきました。



左:奥浜レイラさん、右:飯島奈美さん


奥浜:飯島さんが関わられた作品には、すき焼きがよく登場しますが、監督からのオーダーなのですか。


飯島:全部監督からの提案ですね。すき焼きと唐揚げばかり作っている人だと思われていそうですね(笑)。


奥浜:『ザ・メニュー』のように、コース料理で考えてくださいと言われたらどうされますか。


飯島:MVで小沢健二さんとSEKAI NO OWARIさんの『フクロウの声が聞こえる』というMVでコース料理を作りました。小沢さんから「チョコレート沼のスープ」や「散歩の為の前菜」という名前だけで料理作って欲しいというオーダーがあったんです。沼って何が入っているのか分からないということで、カカオ風味のかぼちゃのポータジュスープにオレンジピールやナッツを沈めラズベリーやピンクペッパーを浮かせてみました。スープをすくう度にナッツやオレンジピールが出てくる。カカオが入っているチョコレートのスープに見えるのですが甘くなかったりして、皆さんビックリされていました。


デザートも「ベーコンといちごジャムのデザート宇宙風」と書かれていて、それを作るのはプレッシャーでしたね。でもそれに応えられるとすごく達成感がありました。宇宙を表現するために円にした薄いベーコンにメープルシロップを塗って焼いて作りました。いちごジャムも生いちごを軽く白ワインと煮て冷やし、マスカルポーネクリームをトッピングしてベーコンを飾って仕上げました。すごく褒めてもらえました。


『フクロウの声が聞こえる』MV


奥浜:美味しそうですね!出演者の方たちはカメラが止まってからも食べられるという話をよく聞きます。


飯島:食べたいと思ってくださるのは分かっているので、美味しいもの作ろうと思っています。普段から撮影の時はちょっと多めに素材を買っていくのですが、唐揚げなど仕込んだ食材は全部揚げてもその場で食べてくれたり持ち帰ってくれたりしますね。最近はコロナの影響もあってなかなか料理に関しても取り扱いが厳しいのですが…。


奥浜:『ザ・メニュー』もどうやって献立を作ったのか気になりますね。


飯島:料理だけでなく器やお店自体もモダンと自然が融合していましたね。料理の味も気になりました。あそこに食べに行きたくはないですけど(笑)。


奥浜:私もメディア側の人間なので、評論家の話は突きつけられました。


飯島:評論家も料理が好きだから、その仕事を始めているはずなんですよね。でもどんどん色んなことを要求されて、ここの店がどうとかあそこがどうとか語るようになっていき、変な方向に向かってしまう。最初のキラキラした気持ちを忘れずにいることは難しいですが、大事ですよね。


みなさん、料理はとにかく味わって食べましょう!




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フードスタイリスト:飯島奈美

東京生まれ。TVCM、広告を中心に、映画やドラマでも活動。映画「かもめ食堂」「めがね」(荻上直子監督)、「南極料理人」「おらおらでひとりいぐも」(沖田修一監督)、「海街diary」「真実」(是枝裕和監督)、「すばらしき世界」(西川美和監督)、ドラマ「深夜食堂」「ごちそうさん」「今日の猫村さん」「大豆田とわ子と三人の元夫」など担当。著書に『LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。』(1,2,3巻)、『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美』(1,2巻/リトルモア)がある。



MC:奥浜レイラ

1984年神奈川県出身。映画と音楽まわりのMC・ライター。2006年よりテレビタレントとして活動をスタート。以降、テレビ・ラジオの音楽番組や映画の舞台挨拶、トークイベントなどで司会を担当。月刊誌GINZAカルチャーページで新譜レビューを執筆中。




取材・文:山下鎮寛

1990年生まれ。映画イベントに出没するメモ魔です。本業ではIT企業を経営しています。


撮影:青木一成





『ザ・メニュー』

11月18日(金)全国ロードショー

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

©2022 20th Century Studios. All rights reserved.

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