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『夜、鳥たちが啼く』城定秀夫監督 自分のやれることをやるしかない【Director’s Interview Vol.268】

『夜、鳥たちが啼く』城定秀夫監督 自分のやれることをやるしかない【Director’s Interview Vol.268】

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カットを割るのがもったいない芝居



Q:普段の山田裕貴さんはスマートなイメージがありますが、今回は怠惰な感じがすごく出ていました。


城定:確かにどう崩すかみたいなところはありました。ただ、山田さんが元々持っている鋭いイメージは、慎一という役の暴力性に生かせたと思います。これまでの彼にはあまりなかったイメージも含め、色々見れたかなと。


Q:山田さんは感情を爆発させるシーンが結構ありますが、その際の演出ではどのようなことを話されたのでしょうか。


城定:基本的には、役作りしてきたものを見せてもらいます。そこで解釈に迷いや相違がある場合は話し合う。また今回は、松本まりかさんの希望もあり本番前のテストを多めにやりました。そのテストは通常「段取り」といって、撮影前にシーンを通しでやるものですが、どちらかといえばカメラや照明の動きのテストの意味合いが大きい。でも今回はそこで芝居の方向性もいろいろと探ってみたんです。その結果、あまりカットを割らない方がいいねとなり、この映画の“空気”がだんだん出来てきました。



『夜、鳥たちが啼く』© 2022 クロックワークス


Q:確かに長回しが多い印象はありました。


城定:長回しは意識していませんでしたが、テストを重ねていくと、芝居が良いのでカットを割るのがもったいないと思うようになったんです。


Q:撮影は『愛なのに』(21)も担当された渡邊雅紀さんです。狭い室内を動き回る、かなり攻めたカメラワークでした。監督からリクエストなどはあったのでしょうか。


城定:基本的に僕から指示は出しますが、それをどう画にしていくのかはカメラマンと照明の仕事。例えば「窓越しからワンカットで」みたいなイメージを伝えつつ、役者さんとも動きの相談をしながら、画作りをしていきます。なるべく芝居優先で画を作りたいのですが、どうしても難しい動きの場合は役者さんにも協力してもらいます。


Q:プレハブで二人でお酒を飲むシーンはカメラがものすごく寄っていきます。狭い空間なのに不思議と奥行きも感じました。


城定:プレハブの中は狭くてあまり撮りようがないので、カメラマンのセンスみたいなものが一番出ますよね。なるべく芝居を邪魔しないカメラワークでやってもらいました。


Q:スーパーの店長とのシーンがダイナミックでした。あそこも一連で撮っていますね。 


城定:あのシーンは暴力性を一連で見せたかった。それがちゃんと撮れる場所を探すなどして、準備段階からかなり仕込んでいます。カメラの渡邊さんも「これまでの(佐藤泰志の原作映画化)作品に負けないように頑張ります!」とかなり意気込んでいました(笑)。普段はあまりそういうことは言わないんですけどね。





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