1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『夜、鳥たちが啼く』城定秀夫監督 自分のやれることをやるしかない【Director’s Interview Vol.268】
『夜、鳥たちが啼く』城定秀夫監督 自分のやれることをやるしかない【Director’s Interview Vol.268】

『夜、鳥たちが啼く』城定秀夫監督 自分のやれることをやるしかない【Director’s Interview Vol.268】

PAGES


面白いか面白くないか



Q:最近は城定作品を目にする機会が多く、特に今年は多かった印象があります。 今後もこのペースで進められるのでしょうか。


城定:今年はたまたま公開が集中しただけですね。どの作品も2~3年かけて動いていますが、コロナの影響でスケジュールがずれたりして重なってしまった。今後はここまで集中することはないと思います。


Q:ジャンルを横断しつつ、原作モノとオリジナル関係なく色々手掛けられている印象があります。ご自身の中で好きなものなどはありますか。


城定:元々なんでもやりますというタイプなので、必然とジャンルは増えていきます。原作モノかオリジナルかでいうと、どちらもそれぞれの良さがある。オリジナルは自分の思いが出しやすいし、原作サイドから色々言われなくて済む(笑)。でも面白くないと原作のせいに出来ないから逃げ場がない。その意味ではオリジナルが出来たときの方の感動が大きいかな。一方で原作モノは、自分では絶対出ない発想があったり、素材を料理する面白さもあったりして、自分のモードが変わってきます。どちらも面白いと思いますね。


Q:そうやって多岐にわたって手掛けているにもかかわらず、どの作品にも城定監督の色を感じてしまうのは、何かポイントがあるのでしょうか。


城定:染み付いているものはあるんじゃないですかね。僕は20年やってきて100本は撮っているので、自然とそういうものは出てくるのだろうなと。撮るたびに、その都度その都度、役者さんと現場の空気に合わせる。事前に会議室で本読みしても、いざ衣装を着てメイクをして撮影現場に入ると全然雰囲気が違ってくる。あんまり事前に固めないのはいつも共通していますね。まぁ現場主義です。



『夜、鳥たちが啼く』© 2022 クロックワークス


Q:客観的には、どんどん面白くなってクオリティもあがり続けている印象があります。ご自身でも実感するようなところはありますか。


城定:それはあるかもしれませんが、自分ではあまり意識はしていません。やっぱり作品毎だし、「クオリティ」って一概には言えませんから。画がキレイだったらクオリティが高いのか、そこの基準が難しい。結局一番は、面白いか面白くないかだと思いますね。


Q:影響を受けた監督や映画作品を教えてください。 


城定:映画業界に入りたいと思ったきっかけは、日活ロマンポルノが好きだったから。ああいう貧乏くさい体制で撮られた映画にグッとくるものを感じます。監督でいうと神代辰巳さんと根岸吉太郎さんです。外国映画ではフェデリコ・フェリーニとエミール・クストリッツァ。貧乏人が明るくてワーッてやる話が好きなんです(笑)。


Q:根岸さんは初期はロマンポルノを撮っていますが、後半はメジャー大作もたくさん手掛けられています。お好きな作品はありますか。


城定:どちらかでいうと初期の方が好きですね。『課長島耕作』(92)とかはそんなに好きじゃないかもしれない(笑)。『ウホッホ探検隊』(86)のような、見たことないタイプの映画も撮るし、『遠雷』(81)とか、あの頃の作品もいいですよね。根岸さんはロマンポルノも大作も両方撮れて上手いんですよ。だから憧れみたいなものがありますね。



『夜、鳥たちが啼く』を今すぐ予約する↓






監督:城定秀夫

1975年9月2日生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学在学中から8mm映画を制作。同校卒業後、フリーの助監督として成人映画、Vシネマなどを中心にキャリアを積む。2003年に映画『味見したい人妻たち(押入れ)』で監督デビューし、ピンク大賞新人監督賞を受賞。その後Vシネマ、ピンク映画、劇場用映画など100タイトルを超える作品を監督。2016、2017、2018、2019年、4年連続でピンク大賞作品賞を受賞。2020年公開の『アルプススタンドのはしの方』がミニシアター系では異例の大ヒットを記録。初日満足度1位(Filmarks調べ)、TAMA映画祭特別賞、「キネマ旬報」ベスト・テン第10位、「映画芸術」ベストテン第3位など数々の栄冠を獲得した同作では、自身もヨコハマ映画祭と日本映画プロフェッショナル大賞で監督賞を受賞。2022年には本作のほか『愛なのに』『女子高生に殺されたい』『ビリーバーズ』などの監督作品が公開、2023年以降も『恋のいばら』(23年1月公開予定)、『銀平町シネマブルース』(23年2月公開予定)ほか撮影中の作品や公開待機作品が多数控えている。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『夜、鳥たちが啼く』

12月9日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

配給:クロックワークス

© 2022 クロックワークス

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『夜、鳥たちが啼く』城定秀夫監督 自分のやれることをやるしかない【Director’s Interview Vol.268】