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『MEN 同じ顔の男たち』アレックス・ガーランド監督 映画作りで一番重要なことはクリエイティブな自由【Director’s Interview Vol.269】
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小説家、そして脚本家としてキャリアをスタートしたアレックス・ガーランド監督。ジャンルを横断しつつエッジの効いた作品を手掛けてきたが、『エクス・マキナ』(15)、『アナイアレイション -全滅領域-』(18)など、自身が監督になってからはそれが特に顕著に思える。『MEN 同じ顔の男たち』では、ホラーという名の皮をかぶりつつ、全く新しいアプローチで観る者を不安と混乱に陥れる。その独自のスタイルはどのように生み出されるのか、ガーランド監督に話を伺った。
『MEN 同じ顔の男たち』あらすじ
夫の死を目の前で目撃してしまったハーパー(ジェシー・バックリー)は心の傷を癒すため、イギリスの田舎街を訪れる。そこで待っていたのは豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリー(ロリー・キニア)。ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、そして警察官など出会う男たちが管理人のジェフリーと全く同じ顔であることに気づく。街に住む同じ顔の男たち、廃トンネルからついてくる謎の影、木から大量に落ちるりんご、そしてフラッシュバックする夫の死。不穏な出来事が連鎖し、“得体の知れない恐怖”が徐々に正体を現し始めるー。
Index
一番重要なことはクリエイティブな自由
Q:新しいアプローチに驚き戦慄しました。新たなことに挑戦する際は、観客に受け入れられるかどうか心配になりませんか?
ガーランド:観客の反応はあえて考えないようにしています。こういう挑戦的なことをやろうとすると、「観客が理解できないから止めてくれ」と出資者から言われることが多い。『アナイアレイション -全滅領域-』のときも、女性主人公が不倫をしている設定に出資者からNGが出ました。「絶対に変えない!」と猛反発して通しましたけどね(笑)。出資者たちはエクセルのデータ上でしか判断しない。データ上で80%が否定的であればその意見だけに従い、残りの20%は無視してしまう。それは果たして観客にとって良いことなのか?僕は観客をリスペクトしているからこそ、新しいアプローチに挑戦しているんです。
『MEN 同じ顔の男たち』© 2022 MEN FILM RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
Q:出資者に対して自分の意見を貫き通すことは、映画作りにおいて非常に重要なポイントになりそうですね。
ガーランド:それはもう、語り尽くせないくらい重要です。僕だって出資者と戦いたいわけではない。そういう意味では、A24との仕事は戦う必要が全く無いんです。自分にとって映画作りで一番重要なのは、クリエイティブな自由。脚本や演技、撮影に編集、音楽などももちろん重要ですが、クリエイティブな自由が無ければそれら全てが無意味なものになってしまう。
実は『エクス・マキナ』(15)以前も演出の仕事をしていたのですが、クレジットに名前は出していません。自分で名前を出して監督をするからには、絶対に自分の作りたいものしか作らない。もしそれで映画を撮れなくなったとしても構いません。「二度と映画が撮れなくなるぞ!」と脅されたこともありますが、そこには屈せず自分のスタイルを貫くようにしています。
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