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『カンフースタントマン 龍虎武師』サモ・ハン 「決してNOと言わない!」スタントマンたちが語る驚愕の香港アクション裏面史【Actor’s Interview Vol.27】
サモ・ハンのスタントチームに入るには
Q:80年代の全盛期、あなたやジャッキー・チェンは自分のスタントチームを作り、互いに競い合ったお陰で傑作を生みだせたそうですね。
サモ・ハン:当時は私やジャッキー、他の役者もスタントチームを持っていましたが、皆お互いによく知っている仲間でした。我々は師匠が同じ京劇の先生なので兄弟弟子なのです。それぞれに得意なアクションがあり、関係もとても良かったですよ。
Q:当時のあなたのチームに参加できるスタントマンの基準はどんなものだったのでしょうか?
サモ・ハン:私のチームに入るための試験はありませんでした。その人にスタントの能力があるかないかは関係ありません。人から物を盗んだりしない、良い人間であればチームに迎え入れました。「人品」、つまり人柄が良いこと。そして一生懸命学びたい意欲があるかどうかが大切な条件です。私自身、映画界に入った時は映画について何も知りませんでした。でもとにかく映画とアクションが好きでした。だから新人としてキン・フー監督*2の作品に出演していた時は、現場では自分の役のスタントはもちろん、他人のスタントも全部やりました。
それ以外にもカメラを載せた台車を押したり引いたりする、ドリーの手伝いもやりましたね。そんな風にやる気さえあればなんとかなるし、人品がよければいつでも歓迎でした。
*2)60~70年代に活躍した武侠映画(中国の時代劇)の巨匠
『カンフースタントマン 龍虎武師』©ACME Image (Beijing) Film Cultural Co., Ltd
サモ・ハン史上最も過酷な映画とは?
Q:思い入れの深い、お気に入りのアクションシーンを教えていただけますか?
サモ・ハン:本当に危険なアクションを沢山やってきましたが、あまりにも多くの映画を作ってきたので、正直どの映画というのは細かく覚えていませんね…。例えば路上でバスを走らせながらのアクションは大変でした。当時の道路は非常に状態が悪く、石などが多くてバスがとても揺れるのです。誤って落ちてしまったら、皮膚が全部やられてしまうのでとても危険でした。
あとは崖から車ごと砂浜に落ちるアクションもありましたね。普通は車が落ちる場所にマットレスをたくさん敷くのですが、当時の撮影現場には十分な量のマットレスがなかったんです。だから運が悪いとマットレスのない場所に落ちてしまうかもしれない。でも当時は「そうなっても死にはしないだろう…せいぜい吐血ぐらいで済む」という気持ちでドンドンやったんです。