2020.05.21
『ポリス・ストーリー/香港国際警察』あらすじ
香港警察で国際警察特捜隊員として所属するチェン・カークイ。今日の任務は香港最大の麻薬シンジケートのボス、クウの逮捕。大捕物の末、見事クウ一味を逮捕する。検察側はクウの秘書、セリーナに証言を求めるが、それを恐れたクウは彼女に刺客をさし向ける。セリーナの護衛を命じられたチェンが危機を救うと彼女はチェンを信用しクウの犯罪のすべてを話すのだった。しかし、裁判の結果、証拠不十分でクウは釈放。復讐に燃えるクウの陰謀によりチェンは同僚殺しの犯人へと仕立て上げられてしまう。チェンは無実をはらすべく、最後の対決に挑むのであった……。
Index
ジャッキーが目指した刑事アクションの決定版
ジャッキ―・チェンの最高傑作は?という問いへの答えに必ずあがるのが『プロジェクトA』(83)と『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(85) だろう。筆者は断然『ポリス・ストーリー』派である。『プロジェクトA』が、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウというスターとの共演作であるのに対し、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』はジャッキー・チェンの独壇場。全編、ジャッキーの美味しい所ばかりで構成されており、成龍至上主義者にはたまらないご馳走である。
本作を観返すと『七人の侍』(54)を撮った時の黒澤明の意気込みを思い出す。「私はこの作品で観客に腹いっぱいご馳走を食べさせて、『これで満足した!』と言わせたい」。
ジャッキーも『ポリス・ストーリー/香港国際警察』によってアクションコメディのフルコースを観客に提供しようとしたに違いない。それほど本作には隙がない。
『ポリス・ストーリー』シリーズ ブルーレイ発売予告
本作製作のきっかけは前作『プロテクター』(85)だったという。ハリウッドで撮った刑事アクション『プロテクター』においてジャッキーはあくまで「出演者」、自分の思ったようにアクション演出ができず、その出来に大いに不満だったという(そのためアジア地域ではジャッキーが香港で追加撮影を行い再編集したものを公開した)。
「これが本物の刑事アクションだ」というものを作りたい。70年代からカンフースターとしてキャリアを築いてきたジャッキーが、刑事アクションの決定版に挑んだのが本作だったのだ。
そのため、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』では、カンフー的な体技に加え、スタントアクションの比重をそれまでより増やすことで、よりモダンなイメージを付与、今も続くジャッキーアクション映画のエポックともいえる作品となっている。では、本作はどのようにして生み出されたのか。