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『カンフースタントマン 龍虎武師』サモ・ハン 「決してNOと言わない!」スタントマンたちが語る驚愕の香港アクション裏面史【Actor’s Interview Vol.27】
ジャッキー・チェンとのアクション作り
Q:『プロジェクトA』(83)はサモ・ハン、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウというアクション指導ができるスターが共演しているため、アクションの演出が難しかったのではないでしょうか。
サモ・ハン:全く難しくないですよ。とても簡単です。私とジャッキー、ユン・ピョウの3人が現場にいる時は、言うまでもなく全て私が決めますから!私が現場にいないシーンなら、ジャッキーや他のスタッフで決めますが、私がいる現場は私が決めました。
Q:そんなにハッキリしていたんですね。
サモ・ハン:なぜかと言うと、この3人は京劇の学校の兄弟弟子で、私が一番上の兄になるからです。だからお互いのことをよく分かっていて「お前はこれ得意だよね。こういう動きが欲しいんだけど」、「これは出来るけど、こっちはちょっと無理かな」みたいに、すぐ意思疎通できる。だから現場では全部私が仕切って決めるんです。
『カンフースタントマン 龍虎武師』©ACME Image (Beijing) Film Cultural Co., Ltd
Q:『プロジェクトA』の撮影で、ジャッキー・チェンが時計塔からなかなか落下できなかった時、あなたが怒鳴りつけたというエピソードが映画に出てきます。『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(85)のジャッキーがポールを滑り降りるアクションでも、同じことがあったと聞いたことがあります。真偽はどうだったのでしょう。
サモ・ハン:あれは別にジャッキーを怒ったわけじゃなかったんです。単に私の声がでかいだけです(笑)。私としては彼を勇気づける意味で大声で叫んでいました。『プロジェクトA』の時計塔のシーンは「ジャンプするか、しないか」の選択肢しかない。だから大声で「飛ぶのか?飛ばないのか?飛ばないならやめよう!何百人も待ってるぞ」って勇気づけていたんです。決して怒ってはいませんよ。
Q:では、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』の現場でもジャッキーを叱咤していたんですね?
サモ・ハン:あの時は現場にいたのかな…ちょっと覚えていませんね(笑)。
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サモ・ハン・キンポー
中国戯劇学院で京劇を学び“七小福”の一人となる。子役やスタントマン、そして巨匠キン・フー監督の『迎春閣之風波』で武術指導兼出演して高い評価を受ける。ゴールデンハーベストと契約後は、ジャッキー・チェンと共に黄金時代を作り、またD&Bといった新興の映画会社を作るなど、香港映画界の大兄貴(大大哥)と呼ばれる。1990年代後半にはハリウッドのテレビシリーズ「マーシャル・ロー」で主演を演じて人気を博す。主な作品として、『燃えよデブゴン』『五福星』『スパルタンX』『ファースト・ミッション』『イースタン・コンドル』ほか数多くの作品を手掛けている。
取材・文:稲垣哲也
TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)
『カンフースタントマン 龍虎武師』
1月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
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