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『生きててごめんなさい』山口健人監督 主人公に投影した丸裸の自分【Director’s Interview Vol.278】

『生きててごめんなさい』山口健人監督 主人公に投影した丸裸の自分【Director’s Interview Vol.278】

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莉奈に重ねたペットという存在



Q:修一の職場や仕事内容、そしてそこで起こるトラブル、莉奈が直面するペット問題など、ディテールが細かい分、リアリティと共感性を持って観る人に迫ってきます。取材をしたり参考にしたものなどはありましたか。


山口:修一が勤めているような、自己啓発本等を作っている編集部の方に取材させていただいたり、ペットショップの人に話を聞いたりしました。それまでは自己啓発本やペットショップに対して割とネガティブな見方をしていたのですが、実際に会って話を伺うと、その人たちなりの哲学や考えがあり、一面的に全て悪いわけではないことがわかる。そこはすごく参考になりました。


修一の上司はちょっと嫌な奴ですが、彼なりに仕事を頑張っているわけで、実際に修一が悪い部分もある。どちらが悪でどちらが善というわけではなく、皆自分なりに頑張っているけれど、傷つけてしまう面や弱さを持っている。取材で伺ったその辺の話は、ちゃんと生かしたいと思いました。



『生きててごめんなさい』©2023 ikigome Film Partners.


Q:ペット問題をこの話に入れた理由を教えてください。


山口:僕自身猫が大好きなのですが、そもそもペットというものは一体何なんだろうという個人的な疑問があった。それで今回の話に入れ込んでみました。また、ペットは檻に囲まれていてどこにも行けないところや、ちょっと下に見られて可愛がられるというところが、莉奈と重なる部分があったんです。


Q:確かに、犬をケージに入れるシーンはすごく象徴的だった気がします。


山口:そうなんです。檻を出て自由にどこかに行くことは彼らには許されないし、キャンキャンうるさかったら、声帯を取られることすらある。ある種都合よく可愛がられがちな存在というのは、莉奈の状況に似ているのではないか。そういう思いがありました。




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