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『アラビアンナイト 三千年の願い』ジョージ・ミラー監督 我々はなぜ物語を語るのか【Director’s Interview Vol.287】

© 2022 KENNEDY MILLER MITCHELL TTYOL PTY LTD.

『アラビアンナイト 三千年の願い』ジョージ・ミラー監督 我々はなぜ物語を語るのか【Director’s Interview Vol.287】

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我々はなぜ物語を語るのか



Q:物語の基本となる脚本づくりと、撮影や編集といった映像化の作業、それぞれどのように捉えていますか。


ミラー:脚本を書くことは大好きです。何の制限もなくどこからでもアイデアを持ってくることができる。それが楽しい。一方撮影では、ものすごくストレスを感じて困惑することも多い。映画を作り始めた頃は特にそれを感じていました。いろんな理論を学んで議論し、多くの準備を重ねて撮影に臨んでも、ライブである撮影では様々なことが起こります。天候の問題や、安全性、人とのコミュニケーションの問題も出てくる。不測の事態だって起きるし、まるで人生みたいです。撮影現場での僕の仕事は、そういった事態が起きても直感的にすぐリアクションして最適な結果を引き出すこと。そう考えると、脚本を書いているときは物作りをしている感覚があまりないのですが、撮影現場は手を使った物作りをしている感覚が強いですね。



『アラビアンナイト 三千年の願い』© 2022 KENNEDY MILLER MITCHELL TTYOL PTY LTD.


編集作業も楽しいのですが、脚本と撮影で間違えてしまった箇所を直す必要もあり、不安にかられることも多いです(笑)。時間をかけて分析しながら編集していますが、完全に理性に任せるのではなく、直感的な部分も大事にしています。脚本に違うフレーバーを味付けするような感覚もあって、それも楽しいところですね。


私にとって、この脚本・撮影・編集の3つのフェーズをひとつにしてくれるのが“好奇心”です。我々はどうやって物語を作るのか。我々はなぜ物語を語るのか。それは決して満足することのない、強い好奇心から生まれているんです。




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監督・脚本・製作:ジョージ・ミラー

1945年3月3日生まれ、オーストラリア、クィーンズランド出身。ニューサウスウェールズ大学で医学の学位を取得。生来の映画好きが高じて短編映画を製作。学生映画コンクールでグランプリに輝き、79年に『マッドマックス』を監督し長編劇映画デビュー。同作はオーストラリアの興行史を塗り替える大ヒットを記録し、続く3本のシリーズ続編でも大成功を収める。83年にスピルバーグに招かれてハリウッドに渡り、「トワイライトゾーン/超次元の体験」の第四話を手掛けて評価される。以後、メジャー・スタジオ作品の製作・監督・脚本を手掛けながら、医学の知識を発揮した『ロレンツォのオイル/命の詩』(92)、脚本と製作を担当した『ベイブ』(95/クリス・ヌーナン監督)でアカデミー賞にノミネートを果たし、続編『ベイブ/都会へ行く』(98)では監督を務めた。アニメ作品『ハッピー フィート』(06)でアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞し、その続編『ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊』(11)も好評を博す。そして15年、シリーズ第四弾となる『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でアカデミー賞10部門ノミネート、最多6部門受賞の快挙を成し遂げた。現在は同作の前日譚『Furiosa』(24)が待機中。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『アラビアンナイト 三千年の願い』

2月23日(木・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

配給:キノフィルムズ

© 2022 KENNEDY MILLER MITCHELL TTYOL PTY LTD.

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