© 2022 KENNEDY MILLER MITCHELL TTYOL PTY LTD.
『アラビアンナイト 三千年の願い』ジョージ・ミラー監督 我々はなぜ物語を語るのか【Director’s Interview Vol.287】
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『マッドマックス』シリーズ(79〜15)『トワイライトゾーン』(83)『ベイブ/都会へ行く』(99)『ハッピーフィート』(06)などなど、ジョージ・ミラー監督がこれまで語ってきた物語に、我々は映画館の暗闇の中で魅了され続けてきた。今回彼が手掛けた最新作『アラビアンナイト 三千年の願い』は、「千夜一夜物語」をモチーフにした、まさに物語のための物語。ジョージ・ミラーは、物語を語るという行為(ストーリーテリング)をどう捉え、それをどのように映像化しているのか? 多忙を極める巨匠の貴重な時間をいただき、ジョージ・ミラー監督本人に直接話を伺うことができた。世界の巨匠が考える物語と映画作りとは?ぜひお楽しみください。
Index
時間の概念が加わり物語が生まれる
Q:本作は「千夜一夜物語」をモチーフに「物語のための物語」になっています。監督自身がこれまで作ってきた作品も寓話的で、まさに「物語」を語ってこられた。映画という手段を用いて物語を語ることをどのように捉えていますか。
ミラー:子供の頃から大学生になるまで、ずっと絵を描いていました。当時は、映画を通して物語を語ることはあまり興味がなかったのですが、絵を動くイメージとして作ることには興味がありました。運良く小さな映画を作るチャンスに恵まれて、自分で編集までして作ったのですが、そのときに気づいたことがありました。絵は平面で二次元ですが、映画はそこに時間という概念が加わることになる。それが加わった瞬間にナラティブでより推進力のあるものになってゆく。映像自体が変化していく性質のものなので、映画になった途端に物語性を無視することはできなくなるんです。それを映像と音楽でどう綴っていくのか、それが映画作りになっていく。そのことに気づかされました。
『アラビアンナイト 三千年の願い』© 2022 KENNEDY MILLER MITCHELL TTYOL PTY LTD.
また、視覚や聴覚に直接語りかけることも映像の強みであり、脚本執筆力に構成力、語られる言葉の力、デザイン力、演技力、カメラワークや画角など、芸術における全てのスキルが網羅されているのも大きな魅力です。一つのイメージから次へのイメージへと牽引していく力強さもあり、それらすべてが入っているものが映画なんです。映画を作ることは特別な物語の中に皆さんを招き入れること。観客の皆さんにそのことを感じてもらえれば嬉しいですね。
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